なぞの大学、ロシア極東国立総合大学函館校 |
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1)函館随一の観光名所である八幡坂に、ロシア極東国立総合大学函館校という、なぞの看板を掲げた校舎がある。高校の校舎を再利用しているので、白い鉄筋コンクリートの校舎は古びている。この学校は、正式な日本の大学ではないが、文部科学省指定の「外国大学の日本校」である。
2)開学は1994年。本部である極東国立総合大学はウラジオストク市にあり、帝政ロシア時代に創設。学生数4万人、教員1600人というマンモス大学で、6万坪のキャンパスを持つ。このロシアの名門大学が、函館市と提携し、函館に進出しているのだが、日本での扱いは専門学校である。
3)4年制のロシア地域学科、2年制のロシア語科が設置されており、定員は各40名。ロシアの言語、歴史、文化、政治、経済などを学び、ロシアのスペシャリストを育成する。8人の専任教員のうち7人はロシア人であり、ウラジオストクの本校から派遣された正式な教授陣だ。
4)ロシア語の授業は厳しく教えており、大学として恥ずべき点のない高い教育水準である。ウラジオストクの本校への語学留学は必修。英語教育にも力を入れている。専任教員によるロシア語やロシア政治経済のゼミもある。
5)ロシア語学習からドロップアウトしないよう。毎週各担当教授による補習時間があり、個人指導が受けられる。日本語とロシア語の両方が話せるロシア人、日本人教職員が学生の相談に応じる。卒業生はロシアに関わる貿易業や旅行業、あるいは公務員就職などをしている。
6)4年制の学科では、高度専門士の学位が得られるので、就職では四大卒扱いだという。函館市の支援を受けており、学費は入学金15万円、授業料年間70万円と、国公立大学並みに安い。日本学生支援機構の奨学金も受けられるし、独自の奨学金制度もある。一般入試は書類選考と作文、面接のみ。
7)さて、このロシア極東国立総合大学函館校だが、2009年の入学生は14人、2010年3月卒業生は9人しかいない。理由は分かりきっている。日本では大学ではなくて専門学校扱いだからだ。
8)秋田の国際教養大学がミネソタ州立大学日本校から衣替えして成功したように、この大学も公立大学に改組すれば、大成功だろう。日本には残念ながら、特定の国や地域を専門に研究できる大学は少なく、それが外交の弱さにもつながるように見える。
9)公立大学化と同時に、現在劇的に低い知名度の向上も急務である。ロシアを専門に勉強できる、しかも学費は国立並みの大学であれば、もっと志願者は増えてもいいはずだ。首都圏や全国への宣伝が欠かせない。
(写真)お話を伺った長谷川吉秀学務課長
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