なぜ群馬大学工学部は女子学生が2割も集まるのか? |
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(写真)国登録有形文化財 群馬大学工学部同窓記念会館 (旧桐生高等染織学校本館・講堂)
1)群馬大学工学部の話をツイートします。皆さんノーマークですが、ここは凄い大学です。工学部なのに、女子学生比率が21.7%。2割が女子なのです。他大学では考えられません。一体何が、女子高校生を群馬大学工学部に惹きつけるのでしょうか。
2)工学部庶務課(企画・広報)の新妻大樹さん、齊藤昭吾さんにお話を伺いました。少子化&理系離れに対し、群馬大学工学部では、数年前から、積極的に女子受験生へのPRをしています。女子向けパンフなども作っていますが、それはどこでもやっています。
3)学生アンケートによると、工学部への進学を決めたのは、63%が高校3年生になってから。高2が18%、高1が12%ですから、実は大学側は高校3年生へのPRを諦めてはいけないということです。入学試験の区分は推薦43、前期36、後期19と、推薦が多い。
4)工学部への進学理由は「興味のある学科だったから」が1位。「理数系科目が得意だから」「将来性がありそうだから」「ものづくりが好きだから」「親の勧め」などを上回ります。彼女たちはちゃんと、学科の学問分野を理解したうえで志望しているのです。
5)ただし、別のアンケートでは、大学を選ぶ際の決め手に「立地アクセス」を挙げる学生が1位。「興味のある学科」を上回ります。群馬県桐生市にある工学部は決して立地が良いとは言えませんが、実はここに、群馬大学工学部が女子に強い理由があるのです。
6)「将来なりたい職業」では、圧倒的に医薬品・化粧品・化学工業系が多く、以下、公務員、情報産業系、電気・電子・精密機器系、運輸・通信・エネルギー系、自動車・工業機械系などと続きます。これにも事情がありますので後述します。
7)さて、女子学生を増やす奥の手ですが、意外と古典的な手法です。3人の広報担当職員が、近隣の進学校を訪問し、大学をPRすると共に、教員による出張講義を提案します。この講義は大変好評で、年間200件も開催されているそうです。
8)これで、学科の学問に関心を持った女子高校生たちが集まった結果、特に人気の高い応用化学・生物化学科は女子学生比率40.8%という驚異的数字を叩き出しました。環境プロセス工学科も25.6%、生産システム工学科12.5%、情報工学科9.4%などが高い学科です。
9)土木系の社会環境デザイン工学科に至っては、就職者の実に42%が公務員という好成績を誇ります。これも目玉として大きくPRしています。こうして、国立大学工学部では1、2位を争う高い女子学生比率を実現したのです。
10)大学が生き残るためには、成績の良い女子学生に関心を持ってもらうという、非常に戦略的な広報をしています。科研費全国42位という高い研究水準もさることながら、女子がいると女子が入りやすい、女子向けの支援が充実している、という点も理由です。
11)大学院には6割が進学します。生産システム工学科だけは夜間主コースがあり、約半数の学生は働きながら通っているそうです。このように、群馬大学工学部には、様々な他大学にはない特徴があります。
12)さて、しかしこれだけで女子が来るものでしょうか。大学側は意図していなかったそうですが、私の分析した理由があります。群馬大学工学部の学生の4割が県内。ここから見えてくるのは、北関東特有の高校の事情です。
13)群馬県、埼玉県、栃木県、福島県などでは伝統的に、名門公立進学校が男女別学です。戦後の学制改革時にGHQの指示に従わなかったからだとも言われています。このため、高校訪問でPRした際の効果が高いのではと考えられます。
14)男女共学の高校で工学部の出張講義をした場合、工学部を目指す男子のためのものになりがちです。しかし、女子高、しかも進学校なら理系志望も多いところで、教授が学問の話をする場合、女子高校生は、工学部という進路を自分の問題として考えるでしょう。
(写真)群馬大学健康支援総合センターでは、学生に5日間の集団認知行動療法プログラムのDVD「私らしさよ、こんにちは」(1時間45分)を貸し出している。認知行動療法は、幅広い心の問題や、ストレスマネジメントに有用な心理療法で、このDVDでは、くよくよして落ち込んでしまう、自分を責めてしまう、自分を好きになれないという人のために、効果的なグループ療法(集団認知行動療法)プログラムを紹介している。
この方法をうまく用いると、自尊心が高まり、自分を大切にして、自分らしく生きられる方法が身に付くという。これは、特定の精神疾患に限らず、また診断がついていない人も対象としている。
メンタルヘルス相談機関や、学校などでのグループワーク、会社の新入社員研修など、幅広い場面で使える。認知再構成法、メリット・デメリット分析、行動実験、マインドフルネス、行動活性化など、認知行動療法のさまざまなスキルが5日間で習得できるDVDである。
このDVDは、著者が行った5日間の模擬グループセッションを撮影・収録したもので、テキストとセットで学習を進めていく。研究室やゼミ、部活、職場、クラスなどでの利用を勧めている。借用方法は、学生支援課に貸出用紙を提出する。貸出期間は1カ月程度となっている。
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