担任の先生がしつけをする大学 東京未来大学 |
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1)入学が決まったすべての新入生にあいさつから礼儀を徹底的に指導。ノックの仕方か
ら部屋の入り方、敬語の使い方まで、普段の生活の中でアドバイザーの職員が指導し、みだしなみや言葉づかい、履歴書の書き方、面接対策までする。そんな大学が存在する。
2)それが、2012年4月に設置される、東京未来大学のモチベーション行動科学部だ。日本初の「やる気」を科学する学部であると名乗っている。経営学、教育学、心理学などを基礎とし、体験型の授業を重視する。
3)新入生にはあいさつ、礼儀の徹底指導からはじめ、iPad2を全員に支給。CA(キャンパスアドバイザー)という職員が学生一人ひとりと面談し目標を設定。達成度を一緒にチェックしていく。
4)高校と同じようにクラスがあり、担任がある。このクラス担任は、学習面で学生をフォローし、分からないところは分かるまで教える。授業では必ず1回は発言する環境を作り、先生や仲間と議論し、発表することで、積極的なプレゼンテーション力を付ける。
5)対話型授業、グループワーク、プレゼンテーション大会、中学・高校での実習、企業でのインターンシップや連携プロジェクト、フィールドワークなどが多く、どんな人とでもコミュニケーションができる力を付ける。
6)モチベーション行動科学部で学ぶのは、社会心理学、モチベーション論、リーダーシップ論、人的資源管理論、組織心理学、コーチング、ポジティブ心理学など。モチベーション(動機づけ)を高め、様々なビジネスの現場で活躍する人材を育成する。
7)一人の学生に、3人の先生が付く。少人数のクラスごとに1名の職員、CA(キャンパスアドバイザー)が配置され、学生一人ひとりと4年間向き合う。CAは学生に目標を立てさせ、それを達成するために学習面、生活面でアドバイスをする。
8)クラス担任は、主に学習面でのフォローをする。科目の履修方法や勉強方法についてアドバイスし、クラス担任とCAは頻繁に情報交換して学生個人を把握する。これに、教育・研究での相談を担当する教員の合わせて3者が、一人の学生を見ることになる。
9)3年次には夏休み特別セミナーで資格取得講座やマナー講座、名刺交換会などのセミナーを実施。3年間のキャリアデザインの集大成として、スーツを着て模擬面接やグループディスカッションを行う「模擬就職活動セミナー」を開催する。
10)4年次には、様々な就職活動の支援があるが、学内企業説明会などのほか、ジョブサポーターというハローワークのスタッフが来校し、幅広い職業を紹介。在学中からハローワークが来る大学など、私は聞いたことがない。
11)学部定員は100名だが、定員の1割にあたる10名の入学金・4年間の授業料を全額免除する「モチベーションマネージャー育成奨学金制度」がある。できるだけアルバイトなどに時間を費やさず、勉学に集中してほしいという大学側の配慮である。
12)この奨学金を得るには、試験の成績だけではなく、「高いモチベーション」が求められ、産官学連携プロジェクト、フィールドワークなどの行事でリーダーシップをとることが要求され、英語やICT教育などでも特別プログラムが実施される。
13)以前、私はある大学の教員から、「経営学部に営業学科ができないか」と相談を受けたことがある。偏差値40台の大学になってくると、研究者志向の学生はほとんどいない。とにかく、ちゃんと就職できるかどうかがカギなのだ。
14)高校生の半数が大学に行く時代に、底辺校と呼ばれる大学でも多くが、教員が博士号を取得した旧帝大など名門大学のような授業をしている。これは、サービス業に就職する大多数の学生のニーズとは大きくかけ離れている。
15)こうした大学の中には、まともに授業が成立していないところもある。それを、「学生がバカ」で片づけていいのだろうか。ちゃんと学生が就職できるように、教育も変わるべきではないのか。東京未来大学モチベーション行動科学部の取り組みは、そうした大学の
16)新しい方向性を感じさせるものである。もちろん、いくらクラス担任制度、礼儀やマナーの指導、少人数の対話型教育をしたところで、有名大学に入れる学生は絶対にこの大学を選ばないに違いない。だが、藁をもすがる思いで大学に進学する層にとっては、
17)「確実に就職させてくれる大学」は魅力的に映る可能性がある。学生数が万単位のマンモス私大の中には、一人ひとりの学生に目が届かず、入学時の学力はそれなりにあっても、友達ができず、プレゼンテーション力やコミュニケーション力がまったく磨けず、
18)就職活動で散っていく学生は山のようにいるのだ。東京未来大学モチベーション行動科学部が成功するかどうかは、大衆化した大学のあり方として非常に注目すべきものである。(終)
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