9/12 東京都立戸山高等学校の悲劇 |
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1)土、日、月と3日間も文化祭をやっている、東京都立戸山高校に、月曜日に行ってきました。月曜に文化祭をやってくれるのは見学する私としてはありがたいですが、さすがに3日間は長いとされて、今後は2日間に短縮することを検討しているそうです。
2)戸山高校では、1年生が教室展示、2年生が演劇、3年生が映画と、はっきり出し物を分けています。特に3年生の映画は気合が入っていると有名です。部活ごとの教室展示もありますが、なかでもSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の実験展示は充実しています。
3)戸山高校の大きな特徴は、文理のクラス分けをしない点です。これは進学指導重点校として国立大学を目指す気風が強いためであると同時に、多様な進路やバランスのとれた人材育成を目的としているためです。素晴らしい取り組みだと思います。
4)1・2年生は、自習学習1日3時間を目標としており、夜8時まで開いている自習室や図書館で、部活動の後も勉強に励む生徒の姿があります。SSHも、理系クラスを作るのではなく、興味のある生徒が自主的に参加する形式を取っています。
5)国公立大学進学を目標に掲げており、多くの生徒が実際に国立大学に進学します。東大は毎年1ケタですが、他にも全国の国公立大に行くのが特徴で、大学をよく調べ、東大が狙えるのに京大や筑波に進学する生徒もおり、教員としては複雑な気持ちだとか。
6)私立は早慶上理、GMARCHまでで、日東駒専はほとんどいません。現在の校長の方針で、学内での行事にはとても力を入れているそうです。受験テクニックに特化せず、不器用に見えてもまんべんなく学ぶ姿勢は、古き良き伝統校の姿だと思います。
7)SSHは大学の教養課程レベルの内容だそうで、この高校は、イギリスやフランスの高校のような、高校教育である程度リベラルアーツを完成させてしまう姿勢に見えました。教養教育による人格形成(笑)を大学に丸投げする高校ではないということです。
8)しかし、そうした質の高さが悲劇を呼ぶ面もあります。教員の方と話したのですが、国立大学に行った学生は不満が少ないが、早慶MARCHに行った学生は、理工系であっても、たまに高校に帰ってきて不満を言う生徒がすごくいるそうです。
9)彼らが異口同音に言うのは、「大学でもやる気のある学生は上位3割ぐらいで、7割は遊んでいる」とのこと。さらに、私大は1年次に少人数の教育の場がないため、まじめに勉学をしたい子の期待に応える環境がなく、「高校時代の方がましだった」との声もある。
10)彼らの期待に応えない大学の罪は非常に重いと私は考えている。国立大学に行った生徒の不満が少ないということは、やはり教員1人あたりの学生数の差による、教育の質の差があると考えざるを得ない。「人によっては早稲田理工より横国理工」という話も聞いた。
11)私立大学の多くは、現状のマスプロ教育で良いと思っているが、それは戸山高校から来たような学力の高い生徒の期待に応えるものではなく、彼らの成長の機会を奪っている。私は自らの乏しい知識を総動員して、MARCHでも少人数教育をやっている学部・学科や、
12)地方国立大学理工系学部の素晴らしい取り組みを戸山高校の先生に熱く語ったが、残念ながら先生はそのほとんどをご存じなかった。そして、大学に行ってがっかりする生徒へのアドバイスや進路指導にはとても悩まれているご様子であった。
13)私は4年間、光文社から『時間と学費をムダにしない大学選び』を出し続けて高校に情報発信しているつもりだったが、残念ながら名門進学校にはまったく届いていない。なぜなら名門校は進学先を迷わないからだ。MARCHより上しかいかないからだ。
14)MARCHより上の大学が、その状況にあぐらをかいて、入学した学生に質の高い教育環境を提供しないことは、国家的損失である。私は以前から思っているが、大学生は勉強しないのではなく、勉強する環境を大学が提供していない側面がある。
15)大学の授業は階段教室で大人数講義の眠い授業を聞くものだと思っている人が多いが、それは大ウソだ。私は国立大学や先進事例やアメリカの大学研究で、そういった大学のウソに気が付いた。勉強したいのにさせてもらえない大学生を救うため、私は闘う。(終)
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