10/20 テンプル大学ジャパンキャンパスに行ってきた |
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(2012/10/20 21:54時点)
(写真)なぞの女子大生2人と、ブルース・ストロナク学長、加藤智恵副学長、中川雅美チーフ・コミュニケーション・オフィサー
1)今日は港区南麻布のテンプル大学ジャパンの学園祭に行きまして、中川雅美チーフ・コミュニケーション・オフィサー(広報/マーケティング/同窓会・大学支援事業担当)と、加藤智恵副学長(エンロールメントマネジメント)にお話をうかがってきました。
2)テンプル大学ジャパンの存在自体は私も知っていましたが、面識のある教職員がいるわけでもなかったので、私もあまり知っているとはいえず、今回、せっかくの機会なので、いろいろと話を聞いてきた次第です。
3)テンプル大学ジャパンは、日本国政府からの補助金も無く、税制優遇もなく、米国のテンプル大学本校からも基本的には財政支援のない、独立した経営をしています。日本の高校生が入学するには、高校の成績(5段階評価で3以上)とTOEFLiBT71点以上が必要です。
4)本場のテンプル大学は、1884年に米国ペンシルバニア州に創立された、州立の総合大学です。テンプル大学ジャパンキャンパスは1982年に開校し、今年は30周年。日本人学生が4割、外国人学生が6割の、約700人(全学部生)の小さな大学で、授業はすべて英語です。
5)日本の大学という扱いではなく、2005年に文部科学省から外国大学の日本校として初めて指定を受け、現在約60カ国の学生が学んでいます。日本にいながら米国大学の準学士号、学士号、修士号、博士号の取得が可能です。
6)大学院はMBA、ロースクール(注・米国のロースクールなので、日本の弁護士にはなれません)、TESOL(教育学英語教授修士課程)の3つの大学院があります。学部課程はいわゆる米国の教養学部(リベラルアーツカレッジ)で、10のメジャーがあり、3年次に選びます。
(追記)厳密には、10のメジャーがすべて教養学部(College of Liberal Arts)に属しているわけではなく、コミュニケーション・メジャーはメディア・コミュニケーション学部(School of Media and Communications)、アート・メジャーは芸術学部(Tyler School of Arts)に属しています。すべて、リベラルアーツ的手法で授業が行われていることに変わりありません。
7)学部の10のメジャーは、アート、アジア研究、コミュニケーション、経済、教養、国際関係、国際ビジネス、日本語、政治、心理研究となっています。学生の国籍は日本40%、米国41%、その他19%。男女比は完全に50%・50%、教員の国籍は日本36%、米国37%、その他27%。
(追記)教員の国籍について捕捉。日本人教員が36%というと外国大学の割には日本人が多いと感じる方も多いかもしれないが、これは外国人学生のための日本語学科(Japanese language major)の先生方が中心。(なお、直近の学期では、日本人教員の比率は31%)
2012年秋学期)の学部教員の国籍内訳
日本 30.6%
アメリカ 36.1%
その他 33.3%
8)授業は8~40人のクラスで行われ、平均は20人。40人以上の教室はありません。英語による双方向型の授業が、米国の本校と同水準で行われています。日本ではまだ多くの人が、外国人のための大学か、インターナショナルスクール出身の日本人のための大学だと思っています。
9)普通の日本の高校生が入学するにあたり、最大の壁は、「TOEFLiBT71点以上」という英語のハードルです。これは本場の米国大学入学並みの水準であり、普通に考えたら困難です。そこで、「AEP(アカデミック・イングリッシュ・プログラム)という課程があります。
10)AEPは、大学付属の英語学校のようなもので、ここで大学の英語講義に耐えられる水準まで英語を鍛えます。期間は3カ月ごとになっており、日本の高校を卒業後、最短では5月(夏学期)に入学します。ここでTOEFLiBT71点まで上げるわけです。
11)人によって期間はまちまちですが、おおむね1年かかります。TOEFLのスコアは2学期間で平均40点UPし、海外の他大学に進学することも可能です。ある意味ここだけの留学予備校と言えなくもありません。
12)AEPには書類審査のみで入れます。一番下のクラスでもiBT45点を想定していますが、これを85点まで上げてくれる英語学校だと考えると、海外大学進学を検討する人には良い選択かもしれません。
13)気になるAEPの学費ですが、入学金21万5000円、入学金+授業料込みで1学期69万5200円、2学期目以降は48万200円です。仮に1年間(3学期)所属した場合、165万5600円。1年でこれですから、決して安くはありません。
14)学部課程入学時には、願書、TOEFLもしくはIELTSのスコア票、自己紹介文(英語で300~500字)、英文の成績証明書、英文の高校卒業証明書、出願料1万円を提出し、Eメールで合否結果が送られてきます。完全に米国流の入試です。
15)学費ですが、入学金が41万5000円(AEPからの学生は半額)、入学保証料3万5000円、授業料(1学期分)73万8000円、これに諸経費を含め、入学時納付金は1学期だけで121万7250円。単位制授業料ではありますが、平均的には毎学期約74万かかります。
16)夏学期を含む3学期制なので、毎年年間200万円以上の学費がかかるわけです。米国大学ではこれは普通か安いぐらいですが、日本の感覚だと、日本の文系私大と比較して2倍近い学費であり、正直なところ富裕層でないと入学は難しいところです。
17)夏学期も授業をとれば、AEP出身者でも、AEP含め4年で出られるそうです。外国人学生は、親の仕事などで日本在住の人もいますが、日本で学びたいと言ってわざわざこの大学にやってくる学生もいるそうです。
18)インターナショナルスクール出身者ではない、純粋な日本人の高卒学生は、毎年20~30人程度。この学生数を増加させることが、テンプル大学ジャパンが日本で認知されるには重要です。英語講義は厳しいですが、中退者はそんなにいないとのこと。
19)ただ、決してやさしい大学ではないので、日本人には大変な環境であり、しかも、必ず成功する保証が無い。就職はかなり良く、名立たる著名企業や外資系企業には入れるそうですが、こうした実態はほとんど外には知られていません。
20)日本の「国際的な」大学との最大の違いは、キャンパス内が完全に英語圏であることで、100%英語で学び、考えること。ただし、海外留学した学生の話によると、「コンビニなど外での日常会話は日本語になってしまう点は、米国にある大学と違う」とのこと。
21)授業は基本的に20人。前もってリーディングやリサーチの宿題に取り組んでから授業に臨みます。授業では教授や他の学生の講義や意見を聞き、ディスカッションをして、質問をしたり、自分の意見を発表したりします。
22)宿題は多い。授業1時間にあたり、最低3時間は授業外学習をするような授業がなされています。授業ではディスカッション以外にも、リサーチやグループワークなどをします。「自分の意見や考えを他者に伝える」のが、この大学の参加型授業です。
23)授業は、時には1枚のレポートや30枚の小論文にまとめたり、プレゼンテーションやスピーチなど、あらゆる形で効果的なコミュニケーションを取るための能力を養います。まあ、これが本来あるべき大学の授業のスタイルだと思いますね。
24)3学期制なので、入学時期は3回あります。夏学期(5~7月)、秋学期(8月下旬~12月)、春学期(1~4月)です。どの学期からも入学できますが、一般的に日本人は夏学期からが多いそうです。卒業時期は決まっておらず、単位を取得すれば卒業です。
25)通常、フルタイムの学生は1学期あたり12~17単位を受講し、3~4年で卒業します。学士号を取得するには、学科により123単位または124単位を取得すれば卒業です。専攻は3年次に決定します。ダブルメジャーやメジャー&マイナーも可能です。
26)米国のテンプル大本校や、イタリア・ローマキャンパスなどに留学することもできます。テンプル大学のフィラデルフィアの本校は、全米大学ランキングでも分野によっては40~70位台という、名門大学です。(おわり)
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