関西学院大学取材 2013年3月9日(土) |
時間と学費をムダにしない大学選び2014 - 最辛大学ガイド
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関西学院大学西宮上ケ原キャンパスを訪問。神戸三田キャンパス事務室キャンパス担当・中谷良規さん、教務部 共通教育センター課長補佐 グローバル人材育成推進事務局兼務・永嶋恒治さん、広報室課長補佐・新谷陽介さん(写真)の三人にお話を伺いました。今回は、関学の教育改革の中でも、特に私の関心が高い、学生共同学習スペースと、ラーニング・アシスタント制度を中心に伺いました。
学生共同学習スペース
学生が教え合い、学び合うとともに、大学院生、教職員と触れあえる空間を拡大するために、共同学習スペースを設置する。神戸三田キャンパスに「Academic Commons」が誕生。2013年4月オープン。約5000人の学生が通う同キャンパスの、学内バスロータリーに隣接して設置され、約200人が入れる「アクティブラーニングゾーン」では、ノートPCの貸し出しをするほか、手のひらサイズのプロジェクターや、ホワイトボードなども用意されている。
「Academic Commons」のテーマは、「教室と異なる学習空間で、生きた学びの実践を」。教職員と学生が一体となってコンテンツを作っていくことにしており、イベントやワークショップなどを開催する。クレセントサポーターという学生スタッフ(無償)と、クレセントチューターという学習サポーター(有償)の学生スタッフを育成し、クレセントチューターはライティングサポートやプレゼンテーションスキルなどの学習支援をする。すでに理工学部と総合政策学部はアクティブラーニングを推進してきており、これを学生たちがさらに推進するための場である。学生たちはアクティブラーニングゾーン で、情報交換→調査・資料収集→議論・検討→リハーサル→成果発表までを一つの空間で実現する。壁による仕切りのない空間で、可動式の机といす、ホワイトボードなどを活用。無線LAN完備。プレゼンテーションや成果発表の場として、プレゼンテーションルーム2室、シアターを設置。こちらも机といすは可動式。
「プロジェクト型アクティビティ」
アカデミックコモンズを活用した、プロジェクトを実施。学部・学年を超えて参加する。クレセントチューターも積極的に関わる。
1.「気づき・出会い」プロジェクト
学生や教職員の独創的取り組みを定期的に発表。
2.「Project Based Learning(PBL)推進」プロジェクト
グループ課題に取り組むことで、物事に対する理解の深化を図る。
3.「グローバル人材育成」プロジェクト
異文化理解・交流の推進とグローバル人材を育成
4.「たて・よこ きずな強化」プロジェクト
卒業生の経験を在学生に還元し、在学生の社会に対する幅広い視野を育成。
5.「KGファン創出」プロジェクト
地域との連携により、魅力の発信と地域密着型キャンパスを目指す。
「Academic Commons」全体の概要
バスロータリーからすぐのところに、広いラウンジを設け、カフェが入居。床の間を備えた和室もある。その奥がアクティブラーニングゾーンで、プレゼンテーションルームやグローバルコーナーを設置。その隣には事務エリアを設け、事務機能をアカデミックコモンズに集約しワンストップサービス化する。
2014年4月には、西宮上ケ原キャンパスにも同様の校舎を設置する。こちらはH号館(仮称)という名前で、図書館の増床や社会学部の研究室の増加などに対応するが、この校舎の1・2階にそれぞれ100席規模(合計200席)の「共同学習スペース」を設置する。これは「学内にディスカッションする場が無い」というニーズに対応するもので、ホワイトボードやプロジェクターを設置し、プロジェクト学習室も7室設置される予定。神戸三田キャンパスのような、学生スタッフを多く活用したプロジェクトは未定である。
ラーニング・アシスタント制度
2012年度秋から本格稼働した、学生の声を活かした授業改善の仕掛けづくりで、関西大学や、立命館大学のES(エデュケーショナル・サポーター)などの先行事例を参考にしている。学部および全学科目の導入科目等を主な対象として、履修者の指導や相談対応などの学修の支援を行うと共に、授業運営を補佐する学生を配置する新たな教育・学修支援の制度。
(参考)立命館大学 TA、教育サポーター(ES)
成績優秀な上回生が学びをサポート。確かな基礎学力を確実に構築する。
立命館大学には、上回生が新入生の学びを積極的にサポートする独自のシステムがあります。大学院生によるTA(ティーチング・アシスタント)と成績優秀な学部上回生によるES(エデュケーショナル・サポーター)の2つです。TAとは大学院生が講義においてわかりにくいところを説明し、基礎的な学びを丁寧にサポートする制度。ESは学部の上回生が後輩学生の学習援助を行う制度です。どちらも教員だけではカバーしきれない、細やかなサポートをしてくれます。質問や疑問に徹底的に答えて理解を深めると共に、学生の声を次の講義に反映するのにも一役買っています。
http://www.ritsumei.jp/law/law03_02_01_j.html
(関西学院大学の話に戻る)
初年次の学習サポートに、学部の先輩をLAとして配置。学部や授業ごとの違いはあるが、年間のべ500人の学生が授業に加わる。時給は1000円。たとえば経済学部の新入生の必修科目「経済と経済の基礎A・B」では、各3つのクラスに5人ずつ、30人のLAを配置。ただし授業に入るのではなく、別途補習クラスを開講して、チューター(大学院生)が課した練習問題などをこなす際に相談・Q/A対応などのサポートをしている。2013年度は1000万円の予算ですべて人件費。今後は規模を拡大していきたいとのこと。現状では文学部11科目、法学部11科目、経済学部3科目、商学部14科目、理工学部11科目など。履修者の満足度は高く、LAの学生の成長の機会ともなり、やる気のある学生を伸ばすしくみであるが、教員の負担は必ずしも軽減はされず、むしろ授業ではより工夫が求められるようになる。
L.A.制度とは
学部および全学科目の導入科目等を主な対象として、授業内および授業外を問わず、履修者の指導や相談対応を通して学修の支援を行うと共に、授業運営を補佐する学生を配置する制度。学部等での教育の活性化と高度化を実現するのが狙い。L.A.は学修支援と授業支援の2種類があり、それぞれに報酬が与えられる。また、学修支援をするL.A.にはL.A.の役割・心構え等、業務遂行にあたって必要な事前研修を実施する。
●学生の声(共通教育センター「スタディスキルセミナー」より)
・悩んだ時に質問しやすかった。同じ学生なので先生よりもフランクに話せた。
・行き詰まった時に一緒に考えたり、アドバイスをしてもらえて助かった。グループワークで困っていた時に助けてくれてスムーズに進めることができた。
・少人数授業の感覚で授業が受けられた。
・グループの意見をうまく整理し、導いてくれたことで新たな考え方の発見につながった。
・何をどのように調べていくかで悩んでいた時によいヒントをもらえた。
・客観的な視点で自分たちのプレゼンを評価してもらえた。
・自分にはないものの見方を学ぶことができた。
●教員の声
・授業運営に関するL.A.の意見を事前に聴取し、今後の運営に反映するなど、運営がスムーズになった。
・L.A.の主体的な関与がグループ活動の活性化に寄与した。また、教員と履修者の距離も近くなった。
(K.G.TODAY 関西学院広報 2012.10 No.272より)
LAには、ファシリテータ、ピア・サポーター、ラーニング・モデル、授業運営支援者の4つの側面がある。
初年次教育科目「スタディスキルセミナー」
全学の共通教育を統括・推進する「共通教育センター」では、2012年度から初年次教育科目である「スタディスキルセミナー」を拡充している。
(引用)http://www.kwansei.ac.jp/a_affairs/a_affairs_000493.html
大学の学びにおいては、自らテーマを設定・調査し、それをまとめ、自らの考えを表現する能力が求められます。共通教育センターではこのような大学での学びのスタイルへ円滑に移行するために2011年度から「スタディスキルセミナー」を開講しています。
■スタディスキルセミナー(読む・書く・話す・聴く) 春6クラス 秋6クラス
■スタディスキルセミナー(文章表現) 春1クラス 秋1クラス
■スタディスキルセミナー(論文作成) 春1クラス 秋1クラス
■スタディスキルセミナー(プレゼンテーション) 春2クラス 秋2クラス
以上4科目あり、20クラス600人が履修。学部の基礎演習の内容検討の際に参考となる科目とする意図もある。
グローバル人材育成推進事業
http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_005105.html
本構想では、習熟度別の「言語教育科目」および国際社会貢献活動などの「実践科目」をコア科目とする5つの科目群を体系的に構成し、学生に提供します。
このような特色を生かして今回構築する「実践型グローバル人材育成システム」は、Certificateの授与を行う3つのコース(登録制)によって、それぞれ「グローバルリーダー」50名、「グローバルエキスパート」150名、「グローバルシティズン」500名の計700名を育成します。
この構想のために、新たな教育カリキュラムの構築や教員配置、留学を支援する体制の強化、自習・協働学習スペースの拡充、コース修了者へのキャリアサポート、外国語力や海外経験を評価する入試制度の構築、教員のグローバル教育力の向上、などの支援体制をとります。
●英語授業の改善について
・総合政策学部、国際学部、人間福祉学部は習熟度別。
・第二外国語が無い総合政策学部は週4コマ、理工学部は週3コマ。そのほかの学部は英語週2コマ、第二外国語週2コマ。英語は30~40人クラス。
英語インテンシブ・プログラム
・1年生秋学期から、習熟度別のクラスに行くことができる。優秀な学生の場合は1年生の春から「飛び級コース」を履修可能。インテンシブ・プログラムはネイティブ教員が教える。
・ネイティブスピーカーによる、英語のみを用いた授業、定員25人までの少人数クラス、週3コマの集中的な授業。
・インターミディエイト・コース(1年秋より・TOEFL430点程度)→プレアドバンスト・コース(TOEFL450点以上の学生対象) →アドバンスト・コース(TOEFL500点以上の学生対象)→スーパー・アドバンスト・コース(TOEFL550点以上、帰国生徒や交換留学を希望とする学生を対象)の4段階がある。
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