衆議院 立法情報 会議録 第186回国会 文部科学委員会 第21号(平成26年6月4日(水曜日) |
http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009618620140604021.htm
池内了氏
「国立大学が法人化されて以来、この十年間なんですが、国立大学は疲弊しているというのが、もうはっきりした私の観察事例であります。
この十年間で、いわゆる運営費交付金は一〇%削減されました。一千億円です。それは基本的には各教員の経常研究費として使われるのが多かったんですが、経常研究費がほとんどなくなる状態になったわけです。その結果として、今言われました競争的資金というものに頼らざるを得なくなっている。まさに、競争で資金をとらないと研究ができない状況に追い込まれている。
無論、それだけではなしに、運営費交付金が減った部分は、実は、文科省の基本方針としては、特別運営費交付金と言われている部分に回したり、最近はまたそこから事業費あるいは補助金という格好で、三年ないし五年ぐらいの、改革強化費とかグローバル何とかとかGPとか、そういう、それこそ今度は大学の競争的資金ですね、大学自身が、いろいろな大学が競い合ってお金をとる。これは、目的が明確に決まっている、それから、先ほど言いましたように、数年、せいぜい五年とかそれぐらいの時限的な予算である。それだと、結局のところは、そういう事柄にどんどん人を投入してやって、それで五年で打ち切りでしょう。
そういう状況で、どんどんどんどん大学が、僕は大学も悪いと思うんだけれども、文科省のお金に引きずられて、どんどんどんどんそういう格好のものに乗っていっている状況があります。その結果としては、教員の研究時間がどんどん削られていっているわけです。
無論、法人化によって教育をより充実させる、少人数教育とか、セミナーをする、あるいは地域貢献をする、いろいろな新しい事柄を大学はやるようになった、これは非常に結構なことです。しかしながら、先ほど言いましたように、人はふやせていない、むしろ減らされている。そして、特任教授とか特定教授とか、新しいタイプの教授、任期つきの教授をどんどんふやしていって、その分専任教員に負担がどんどんかかるという状況で、教育デューティーとか国際化のためのさまざまな活動とか、そういうことにまさに時間をとられて、結局のところ研究力が非常に落ちている。これは僕は否めない事実であると思います。これは国立大学法人化のいろいろな白書等を見ていただいても、そういう実態が明らかにあらわれております。」
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