中央大学理工学部電気電子情報通信工学科の竹内健教授の研究室を見学 |
1)中央大学理工白門祭で、理工学部電気電子情報通信工学科の竹内健教授@kentakeuchi2003のグリーンナノLSI回路システム研究室を見学してきました。学生さんから説明を聞いたのですが、私の理解が誤っている場合はご容赦ください。竹内研では、2025年の実現に向けて、
2)立体構造3次元LSI(マイクロキューブ)を研究しています。スマートフォンと同じ機能を0.1ミリサイズに小型化し、これを人体内に入れて、細胞サイズで医療診断やデータ収集できるロボットの実現も目指しています。そのためには、現在の2次元ではなく3次元のナノメモリや、
3)超低電力の電源回路を作ったり、無線給電ワイヤレスSSD、3次元LSI回路設計、人工知能によるデータ解析、ビッグデータ処理データベース、3Dプリンタによるガジェットの試作といった、幅広い研究が必要です。こうして開発した超小型センサ(マイクロキューブ・ナノボット)が、
4)現実世界のあらゆるものに設置され、データを収集します。取得した膨大なデータ(ビッグデータ)はデータセンタに収集、クラウド空間の人工知能によりビッグデータをリアルタイムで分析・解析し、様々なサービスに生かします。LSIを三次元化することで、消費電力を70%削減します。
5)竹内研の研究成果として、データを超高速で処理する情報処理基盤システムの開発があります。書き込み速度は11倍、消費電力は93%削減。ただしこれはモノは作っておらずシミュレーター上で実現したものです。なぜなら、製品化するには5千億円規模の工場が必要だからだそうです。
6)大学の一研究室で、5千億円の工場を作って製品化することはできないので、大学側では設計を担当し、企業と共同研究をしています。人工知能により膨大なデータを解析し、有用なデータを拾い出すことでリアルタイムサービスに対応するデータベースの開発もしています。
7)超低電力で高速な次世代3次元メモリの開発もしています。これはSCM(ストレージ・クラス・メモリ)といい、DRAM並に超高速で動作可能、ストレージ(HDD、フラッシュメモリ)のように大容量で、しかも低電力で動作するものです。カーボンナノチューブなどがメモリの候補になっています。
8)こうした製品を開発することで、何が実現するのでしょうか。これは革命的で、見守り案内サービスや非常時でも機能する捜査システムなどの「安全監視」、ナノボットによる医療診断システムやヘルスケア診断支援などの「医療健康」、自動車運転危険回避システムや渋滞回避システム、
9)エコ・省エネコントロールなどの「交通」、自律型生活支援ロボットや食料のトレーサビリティなど「生活」の面で役立ちます。高校生の段階だと、物理が苦手で生物や化学が好きな人、そこから派生して医学部や保健医療学部、農学部、生命科学部を志望する生徒が特に女子に多いですが、電気こそが
10)医療や健康の分野でイノベーション(技術革新)を起こせる画期的な研究ができる分野でもあるのです。どこの大学でも、物理を応用した機械、電気、情報系の学科は驚くほど女子学生が少ないのですが、こうした分野こそぜひ女子受験生に目指してほしい。活躍の場はいくらでもあります。
11)竹内研では、4年次に研究室に入ると、論文・文献調査→測定・シミュレーション→定例ミーティング→論文発表という流れになります。4年生のうちに1件は学会などで発表することを目標にしており、まだ研究が進んでいない段階で、とりあえず発表の申し込みをしてしまい、それから「どうしよう」
12)と学生が悩むこともあるそうですが、そうやって高いハードルを自分に課して研究するのです。毎月のように海外の学会で研究発表をしており、2014年は2月、3月、5月、6月、8月、9月に実施。国内・学内でも卒論発表会や国内学会に出たり、学園祭やオープンキャンパスでも公開します。
13)研究室はパソコンや会議スペースのある通常の学生研究室と、回路設計、次世代メモリ、チップの測定、3Dプリンタを使用した試作などができる実験室の2部屋が用意されています。共同研究企業は東芝、セコム、Yahoo、JAL、富士通など約20社。興味のある受験生はぜひどうぞ(終)
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