(読書)日本の医療格差は9倍 医師不足の真実 (光文社新書) |
http://www.amazon.co.jp/dp/4334038425
愛知大学文学部の樫村愛子教授(社会学)に熱心に勧められ、「医療にはそんなに興味ないなあ……」と思いながら読んだら愕然、ほとんど大学論の本で、極めて面白かった。
医者は東京に集中して地方で不足と言うのはウソで、実は西日本に医者が多く(四国は4つも国立医学部がある)、東京都以外の東日本はかなり不足している(埼玉、千葉、神奈川など、人口の割に国公立医学部がなさすぎ)。
その理由は、「明治維新で新政府側に付いた県を優遇し、幕府側を冷遇した」という、驚くべき理由。西日本より東日本のほうが県が大きいのもそれが理由で、例えば福島県などは本来関係ない地域を無理やりくっつけて、国立大学医学部も無い。姫路城が幕府側だったので、兵庫県もツギハギで成立し、姫路は徹底して冷遇されて県庁所在地にもなれず国立大学も設置されなかった。
愛知県は新政府側に付いた尾張は優遇されて名古屋近郊には医学部が4つもあるのに、幕府側の三河は冷遇されて医学部がないから今も医師不足で、国立大学もない(豊橋技術科学大学はできたが)。愛知県では三河が尾張に吸収合併されたようになっている。本来は独立国なのに。
兵庫や福島など、無理な成立過程はまるで中東やユーゴスラビアだ。幕末維新が現代にまで影響し、内戦の傷跡が癒えていないという驚くべき真実。私大の教育が西高東低気味なのも、これが関係しているのかもしれない。とても興味深い本だった。
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