企業が本当に求めているのはコミュニケーション力ではない |
コミュニケーション力、問題解決力、リーダーシップと
よく言われている。納得できる部分もあるのだが、
どれも抽象的でうさんくさくも感じていた。
大和総研のチーフエコノミスト原田泰氏が
2月12日に発表したレポート「社会が求める人材と大学の役割」には
面白いデータがある。
厚生労働省「平成13 年産業労働事情調査」というやや古いデータだが、
企業の求める人材能力は、
1位 販売・営業力
2位 発想・企画力
3位 コスト意識・財務センス
という、何とも身も蓋もないものだ。
むろん、これらの能力を新卒に(表向きは)期待してはいない。
だから新卒採用の面接では
社会人としての常識やマナー、まあ、これは当然として
チームワーク、問題解決力、リーダーシップ力などを
面接で総合的に判断するため、
落ちた学生は、何が悪いか分からない
採用側も、入社させちまった学生の選考に問題があると
自分の首を絞めることになるため、
こうした採用のシステムが有効かどうかの検証はしない。
こうしたことに対する違和感が学生・企業それぞれにあり、
就活ジャーナリズムが花盛りになるのであろう。
口ではコミュニケーション力と言いながら、本音では
販売・営業力、発想・企画力、コスト意識・財務センスのある
即戦力が欲しいと思っている企業は、潜在的にはたくさんあるはずだ。
専門学校は主に学生や教育の水準において多くがその期待に
こたえているとはいいがたいし、
専門職大学院は教員や教育内容が雇用側の期待にこたえていない。
就職が強いといわれている四年制大学にも実際には大きく2つの
流れがあって、文系は熱心な就職サポートで就職に強いと言われるのに
対し、工業大学などでは、本当に技術者として即戦力になる
学生を育てている大学が、いくつか見受けられる。
こうした大学を例に、特に低偏差値の大学や実学的な大学では、
在学中に販売・営業力、発想・企画力、コスト意識・財務センスを
身につける大学が出てくるべきではないだろうか。
アカデミズム出身の教員にそれを教えるのは困難だろうが、
学生や採用側のニーズは間違いなくある。
商科大学などでは、「販売」「営業」「財務」「コスト意識」など、
流通・サービス業で即戦力になる学生を育成する大学が
出てきてもいいかもしれない。しかも早いうちから
インターンシップをして、たとえば家電量販店で朝から晩まで
社員と一緒になって働くのだ。嫌になって辞めるかもしれないが。
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