嗚呼、熊本大学旧制五高記念館 |
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(写真)重要文化財の五高記念館。左の木は旧制高校ができる前からここに生えている
これほど美しい国立大学のキャンパスを、私は知らない。明治20(1887)年、九州唯一のナンバースクール=旧制高校(のちに鹿児島に七高ができる)を、当時人口4万人の九州最大の都市であり、明治維新に幾多の人材を輩出した熊本が、福岡を下して獲得した。
夏目漱石、ラフカディオハーンなどの歴史的人物が教鞭を執り、寺田寅彦、佐藤栄作、池田勇人、大川周明が学んだのが旧制高校の校舎であり、本館は当時のまま残されている。ちなみに旧制高校はキャンパス内に寮がある全寮制だったので、この校舎にはトイレが無い。
(写真)復元された教室。置かれている机とイスは当時使用された本物
内部の展示室には、五高の歴史を紹介した展示物や、著名教授陣、卒業生の業績の紹介が展示されており、夏目漱石の直筆の書や、五高着任の辞令の本物などを見ることが出来る。また、夏目漱石に心酔した寺田寅彦が、夏目漱石の家に住ませてくれと懇願したが断られ、
やむなく敷地内の納屋に住んだなどのエピソードが多数紹介され(市内に建物が残っている)、古き良き旧制高校の栄華を偲ぶことが出来る。夏目漱石の声を骨格から再現した音声テープも聴ける。夏目金之助先生が着任した当時、英語の教師は外人が当然で、
彼らは日本語が下手なことから学生たちは否応なしに英語で会話する必要に迫られており、夏目漱石が英語教員であったのは極めて珍しかった。松山は夏目漱石で売り出しているが、実際にはかの地には1年余り居たにすぎず、熊本の4年間のほうが夏目漱石にとって実り多かったであろうことは
夏目漱石の歌碑の実に3分の2が熊本にあることからも明らかである。(と熊本の人が言っていました)。また、『草枕』は熊本での日々を土台に執筆されたといわれる。
全寮制やネイティヴによる英語授業など、旧制高校の制度から私たちが学ぶべきことは多い。自由闊達で気迫のあるエネルギッシュな旧五高生たちの写真やさまざまな展示を見るにつけ、時代背景はともかく、教育環境としての旧制高校には素晴らしいものが多かったのだと感じた。
旧制第五高等学校の本館は、100年以上の風雪に耐えた頑丈な建築であり、月日が経つほどその美しさと魅力は増すばかりである。コンクリート校舎と比べても、年月による劣化を感じさせない。設計者の水準には頭が下がるばかりだ。
ナンバースクールは、一高(東京)、二高(仙台)、三高(京都)、四高(金沢)、五高(熊本)、六高(岡山)、七高(鹿児島)、八高(名古屋)の順。大学のキャンパス内に旧制高校の建造物をきちんと残し、記念館で展示までしているのは唯一熊本のみであり、これは高く評価できる。
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