10/17 愛知大学はなぜ就職に強いのか |
新品価格
¥735から
(2010/10/18 12:35時点)
(写真↑)愛知大学オープンキャンパスにて。各務一徳・本部事務部長、中野貴文・入試課長・入試広報係長、滝口博元・車道キャリア支援課本部・課長と、学生スタッフのみなさん、と私。
愛知県名古屋市の愛知大学オープンキャンパスに行ってきました。愛知大学は今、2012年に移転する名古屋駅近くのささしまキャンパスを盛んに宣伝していますが、何せまだ着工したばかりです。そこで、法学部の3・4年生と大学院生が使っている、車道キャンパスが会場でした。
オープンキャンパスの目玉企画として、保護者を対象とした就職事情の説明会が開催されていたので出席。内定者報告会の形式をとっており、車道キャリア支援課の滝口博元課長の司会により、4人の内定者の4年生が体験談を語るというものでした。
4人の内定者は、法学部A君(鉄道会社)、現代中国学部B君(メーカー)、経済学部Cさん(県庁)、国際コミュニケーション学部Dさん(教員)ということで、立派な結果を出した学生ばかりです。就職が心配な親御さんたちが多く集まり、熱心に聞いていました。
後ほど滝口課長にお話をお伺いしたところ、愛知大学の求人は、08年度から09年度で3割減、09年度から10年度でそこからさらに2割減と極めて厳しい状況です。しかし、愛知大学に限らず、どこも同じように厳しいとのこと。「メーカーの多い愛知県は特に求人減がある」ということです。
内定率は昨年を下回っていたのですが、夏休みあたりからなぜか盛り返してきて、現在は「昨年並み」とのこと。しかし、厳しい状況は変わりありません。今年の求人倍率は1.28で、昨年の1.62、09年3月卒の2.14と比べ悲惨ですが、私は0.99倍の2000年3月卒ですが何か。
企業は厳選・少数採用、長期化、女子の採用減といった話になりました。特に、女性の一般職・事務職の採用が無い。これは、女性が結婚・出産で退職しなくなったため、採用を減らすという形で雇用調整をしているためだそうです。
面接の基準も大幅に上がってしまい、愛知大学でも現在、最終面接11連敗という気の毒な学生がいるとのこと。今年は4・5月で内定が出る学生が少なく、長期化が深刻だそうです。もう大学4年生は1年中就職活動で、卒業論文どころではないのかもしれません。
09年度の文部科学省の学校基本調査では、大学院を含め進路の決まった大学生は70.3%。3割の大学生が就職できない事態となっています。そんななかで愛知大学は大学院進学を除いても卒業生の就職率は80.4%だそうです。
南山大が78.2%、中京大が71.2%、愛知学院大が66.9%ということで、名古屋のライバル私大にくらべ、愛知大学が就職で強いことが分かります。特に、法、経済、経営学部は、読売新聞・大学通信調べのデータによると、中部圏ナンバーワンの就職率。
就職先も、金融・保険20.4%、製造業13.3%、公務員・教員13.1%と、卸12.8%、小売12.2%よりも高く、世間の評価の高い、堅実な業界へ、確実に就職できています。リーマンショック前までは、金融系は3割近く、製造業も2割近かったとのこと。
学生が、携帯電話のメールでSPIの問題が送られてきて、それを解いて勉強したと言っていましたが、これは大学がやっていることなのでしょうか。
企業からの愛知大学の学生に対する評価は、「まじめ」「信頼できる」「あたりさわりがない」「均一的」「つぶぞろい」といったもので、まあ、ポジティブに言えば「あたりはずれが無い」といったところでしょうか。
愛知県内の信用金庫には、ものすごい数の卒業生がいます。また、文系大学ながら、トヨタ自動車にも毎年数人は入れています。堅実な就職のできる大学と言えるでしょう。
学生たちは、プレエントリーが100社から200社、実際にエントリーに到達する企業が20~30社です。このわずか30社ぐらいを有名大企業ばかり受けていては、多くの学生にとって、就活をしているとはいえないでしょう。
公務員、教員志望の学生の勉強ぶりは半端ではありません。愛知大学ではキャリア開発講座として公務員試験対策講座をしていますが、たとえば総合+教養コースを受講する3年生は、5月から12月まで、週4~5日、90分授業×2本、夏休みは1~4限ぶっ続けの公務員講座勉強詰めです。
講座の費用は、ダブルスクールで専門学校に行くよりも、はるかに安く設定されています。ユニークなのは、月曜から金曜まで毎日40分ベルリッツの英会話を受けるEveryday Englishで、なんと週5日×10週間が春学期と秋学期、つまり100コマもの英語の講座です。
教員採用試験も、教職課程だけでは受からないということで、対策講座を開講しています。公務員を目指す学生は、1日8~10時間勉強することはザラだそうで、毎日夜9時ごろまで図書館で勉強しているそうです。
学生による就職活動体験談で「つらかった話」は、やはり移動の話で、午前中は名古屋の会社、午後は大阪や東京の会社、夜は家でエントリーシートを書き、毎晩2時に寝ていたなど。それでも名古屋だから逆に交通には恵まれているかもしれませんが。
公務員試験と教員採用試験を兼務していたCさんに至っては、公務員試験の勉強がラストスパートの6月に教育実習があり、しかも大学の前期テスト試験の期間というトリプルパンチ。追い込まれていましたが、同じような境遇の友達と支え合った点が大きかったとのこと。
滝口課長は、内定を取れる学生の特徴を6つ挙げる。1.基礎学力、文章力がある。2.学生時代に何かに一生懸命打ち込んだ経験がある。3.コミュニケーション力。4.明るく元気。5.働くことに意欲的。6.自立している、主体性がある。
公務員・教員志望の学生には、これらに加えて、長く厳しい学習をやりぬく、継続力、集中力、精神力が必要だと語る。名古屋の学生は地元志向なので、国家二種に受かっても、地方上級に受かったら愛知県庁を選ぶ学生が多いとのこと。愛知大学は他大学のような特に公務員志望のための勉強部屋は
ないのだが、みんな図書館で夜遅くまで勉強している。あえて工夫していることと言えば、モチベーションを維持させる仕組みづくりだ。教員や公務員志願者を集めての合宿、OB・OGを招いての懇談会、交流会、県庁、市役所、国家公務員の人事担当者に大学に来てもらい講演など。
一緒に公務員試験の合格を目指す学生同士の「仲間づくり」には、極めて積極的である。やはりこれこそが愛知大学の強さの秘密なのだ。東京だと有名な公務員予備校にみんなバラバラに通う傾向があるが、愛知大ではそうではない。仲間同士、励ましあい、情報交換をして勉強をする。
キャリア支援課は公務員試験を目指す学生たちの「部室」のようになっており、友人同士で集まって情報交換をしたり励ましあう場になっている。合宿や卒業生との交流会、人事担当者との交流会も、公務員受験仲間の友情を深める会でもあるのだ。
滝口課長は、「特にウチは経営学部が連帯感が強い」という。これは他大学にない文化だ。愛知大学経営学部は2010年3月卒の経営学部の就職率ランキングではなんと全国1位(国立含む)。これは、ゼミごとの対抗意識・仲間意識の強さ、結束力ゆえなのだという。こんな大学はほかにない。
愛知大学の学生の優秀さ、基礎学力の高さを維持するための方策として、推薦入学者が少ない点がある。一般入試で6割の受験生を集め、推薦入試どころか指定校推薦でもすべて「学科試験を課している」。これが、「愛知大学の学生ならハズレがない」という企業の高い評価につながっている
←読後にクリックをお願いします
くたばれ!就職氷河期 角川SSC新書 就活格差を乗り越えろ (角川SSC新書)
新品価格
¥819から
(2010/10/18 12:36時点)