10/23 名古屋商科大学の高評価は本物か |
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(1)朝日新聞の『大学ランキング2011』で、高校からの評価ランキングで全国37位、中部地区5位、愛知県内私大1位、生徒に勧めたい大学、進学して伸びた大学でも高評価、『週刊エコノミスト』『サンデー毎日』などでも、「面倒見が良い大学」「教育力が高い大学」「生徒が伸びる大学」などで
(2)極めて高い評価を受けていると、自ら大々的にPRしているのが、名古屋商科大学である。一方で、偏差値や志願倍率、知名度などは、名古屋の有名私大には遠く及ばない。一体このギャップの大きさは何なのだろう。今回、名古屋商科大学を訪問したのは、この謎を解くためであった。
(3)入試広報課に行くと、ドアの前に「自動靴磨き機」が設置してある。ちょうど私は革靴だったので、ピカピカにすることができた。微妙にサービスが良い。さて、名古屋商科大学のアピールポイントを、担当職員の方から伺ってみた。まず、郊外の広いキャンパスが売りだという。
(4)名古屋商科大学は、都心回帰のつもりはまったくない。スポーツ施設が充実したこのキャンパスで、学生の4割がクラブ活動をしている。クラブはいわば小さな社会であり、上下関係や同僚との関係といった社会生活、仲間作りを学ぶ場として重視している。語学教育、情報教育にも力を入れている。
(5)経営学部ではケーススタディを重視、経済学部は心理学を生かした行動経済学が学べるのが特徴。GLP(グローバル・リーダーシップ・プログラム)という選抜コースを用意し、大学院進学コースは53人が所属、3年で卒業し、大学院の授業をプレMBAとして履修する。
(6)留学コースは13名が所属、税理士・公認会計士コースは16名が所属し、それぞれ勉強している。一般の学生も、英語による経済、経営の科目が33科目開講されているので、のべ230名ほどがこれを履修している。海外留学は1年が基本で、語学留学ではなく、経済や経営を英語で学ぶ。
(7)1年生は全員が「ビジョン・プランニング・セミナー」という30名前後の初年時ゼミを受ける。上級生(2・3年生)のアシスタントがつく。4年後どうしたいか、何を学んでいったらいいのかといったキャリア教育もここでする。
(8)名古屋商科大学はAACSB、AMBAという国際的な認証評価を受けており、これが世界の大学と交流する際の保証となっているので、世界59大学と協定を結び、留学や交流ができるのだという。AACSBは名古屋商科大学のほかには慶應義塾大学大学院経営管理研究科だけが持っている。
(9)名古屋商科大学は全学生数3700名と小規模、大学の方針は、教授主体ではなく学生主体の大学運営であり、全講義完全実施、授業調査と講義改善を掲げている。全講義が座席指定で出欠席をとるため、学生の出席率は平均で90%に達している。授業は4回休んだらアウトだ。
(10)どの科目もレポートが課され、厳しく教育をしている。「高校と同じことをやっているだけ」というが、これは中身のことじゃなくて、高校のように次なる目標に向かって厳しく指導しているということだろう。愛知県は高校生の6割が大学に行くという。
(11)名古屋商科大学は、偏差値ではなく、大学が何を提供しているのか、で受験生に大学を選んでほしいと考えている。そのため、入ってからの教育に力を入れるのを売りにしている。就職の面倒見もよく、2009年度の卒業生の就職率は愛知大学の80.4%につぐ80.2%だった。
(12)学生の就職支援は、ゼミ、職員による就職支援センター、教員の就職委員会の3者が頻繁に情報交換をする。1年生のゼミから学生1人1人に目を配るが、3年生は全員と個別面接し、進路支援データベースに学生の就職活動状況をまとめて管理し、指導をする。
(13)学内での企業説明会も「学内個別会社説明会」と称し「個別」を強調。これは体育館などの大部屋で何社も一斉に説明会をするのではなく、日時を決めて小教室を使用し、学生と企業が丁寧に対話できるようにしている。内定した4年生が運営する合宿形式の「就職研修会」には企業人事も参加する。
(14)「納得内定ゼミ」は1~2月に行う1週間の集中講座。内定した4年生が運営し、企業人事によるプレゼンもある。自己分析やエントリーシートの添削、面接対策などを徹底する。大学ではこれを「プレ就活」と位置付けており、学内で就職活動や面接を疑似体験できるのである。
(15)おそらく名古屋商科大学は、頭のいい高校生を奪い合うという競争では他大学に勝てまい。そうではなく、入った学生を伸ばす、という教育や就職支援の中身で違いを出すからこそ、高校側からの評価が高いのであろう。
(16)商科大学の宿命として、卸小売・サービス業に6割の学生が就職するため、金融・保険業(7.8%)、公務員(3.3%)、マスコミ(0.9%)などの就職が少ないことが、親や高校からの評価が上がってこない一因だと思う(数字は2009年度就職実績)。
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