12/9 立教大生は週2時間しか勉強しない |
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(2010/12/10 00:19時点)
1)12/9 立教GP講演会「大学における学習空間の創出:同志社大学の事例から」百合野正博氏(同志社大学図書館長)立教大学図書館は、2011年の新座図書館改修、2012年の中央図書館建設に向け、多様な利用形態に応じた学習支援のあり方とそのためのスペースを検討している。
2)中央図書館計画ではグループ学習にも応じられるスペースとして「ラーニング・コア(仮称)」を設置するとともに、キーワードのひとつとして「居場所としての図書館」を掲げ、長時間滞在のための機能の充実を計画している。現在、各地の大学図書館内にこうした学習空間が設置されつつある。
3)学生の学習空間は図書館内に限らず、学内各所にさまざまな形で点在することが望まれる。同志社大学では2004年にホール、ギャラリー、和室などに加え、自習・読書のためのリーディングスペースを備えた「寒梅館」を建て学生の「居場所」を創出、現在は「ラーニングコモンズ」を計画中である。
4)同志社大学は、文系1・2年生が2013年に今出川キャンパスに集約されるのに伴う新校舎の2階・3階に、ラーニングコモンズを設置する。ラーニングコモンズとは1990年代からアメリカの大学で広がり始めた考え方で、パソコンを自由に使えたり、丸い形のテーブルやソファを用意して、
5)コーヒーを飲みながら話ができるカフェも設け、大学図書館をただ本を借りて読んだり調べたりするだけの場所ではなく、仲間とディスカッションしたり、自分たちが情報を発信する場に変えていくというもの。学生気質が変わる中、「通う大学から暮らす大学」へ転換させる。
6)同志社では2004年に特色GP「大学コミュニティーの想像」が採択され、孤立したばらばらの大学生たちを何とかするために、学生が学生をサポートする体制を造ることで、昔の活発な同志社を復元させようとしている。(1986年に田辺移転を強行しておいて何言っているんだか)
7)学生支援センターを造り、ぴあアドバイザー、学内インターンシップ、学生ボランティアなど、大学内で核となって動ける学生を育て、実社会で必要な能力養成をさせている。2004年に今出川に竣工した寒梅館は、ホール、学食、会議室、リーディングスペース(ラーニングコモンズのようなもの)
8)女子学生専用ラウンジ、保健センター、PCコーナー、ミーティングスペース、オープンラウンジ、グループ学習室、和室(畳が敷かれていて座布団と机があり、自由に自習ができる)などの設備がある。この新しい校舎に学生が集まってきて溜まり場になり、居場所のあるキャンパスを実現した。
9)京田辺キャンパスのラーネッド記念図書館も、1階にグループ学習ができるオープンタイプの自習スペースを作り、ホワイトボードも設置した。このオープンスペースを使った講習会なども開催し、大阪の心斎橋のアップルストアのように、外の人が中での活動が見えるようにしている。
10)PCコーナーにコモンズカウンターを作り、学生ITサポートスタッフを置いた。学生たちが頻繁に学生スタッフに相談に来るようになった。人と人とのコミュニケーションの復活。これからの図書館や学生のためのスペースは、個人作業からコラボへ、キャレルデスクからテーブルヘ、
11)個室からオープンスペースへ、印刷物からデジタルデータへと変わっていく。やがて学生たちはよりオープンな空間を求め、ワンルームマンションからルームシェアリングへ、Twitterから生の会話へと広がっていくのではないか。
12)学生生活が空洞化したこの20年、今、ラーニングコモンズが大学生らしさを取り戻すきっかけになるのではないか。(講演終わり)
13)このあと、立教大学の諸先生方のさまざまなコメント。グループ学習スペースをガラス張りにしたり、仕切りをなくすことで、室内の利用の様子が外に見えて、学習意欲を高める。
14)今求められている学習空間は、インターネットで情報を探し、ワードやパワポを作成し、飲食しながら、グループで議論ができるような部屋。図書館やPC室は会話禁止、飲食禁止だし、学食はネットができず作業に向いていない。空いた教室は机が動かず使いづらい。
15)立教大学は2012年秋に、池袋に中央図書館を新たにオープンさせる。収蔵冊数は200万冊、閲覧席は1500席。軽飲食が可能なスペースも設ける。ここに、目玉として「ラーニング・コア(仮称)」を設置。グループ学習用のテーブルやイス、ホワイトボード、無線LANを設置予定。
16)今の立教大学には、図書館以外の自学自習スペースはまったくない。しかしそれは、大学自体が、学生が勉強しなくてもいいような場だったのだ。学生は勉強する必要がなかったのだ。衝撃のデータがある。現在の立教大生の63.8%が、週2時間以内しか勉強していない。1日20分以下だ。
17)日本の大学は、特に文系私大は、大学生が授業外で勉強することを想定していないキャンパス設備であり、カリキュラムだったのだ。今までこれで成り立っていたほうがおかしい。今のカリキュラムでは、学生が勉強する必要がないようになっている。
18)授業で教員が課題を出し、学生が予習復習をして毎回レポートを出し、修正、再提出させる仕組みが必要である。そうすることで、図書館ももっと活用されることになり、勉強する大学へと変わることができる。ただし、課題探求型の授業は少人数でなければできない。
19)マンモス文系私大は、すべての授業を少人数にすることはできない。そこで、100人、150人の授業では、学生をTAとして活用することで、インタラクティブな授業の実現に近づける。学生が先輩・後輩同士で交流する中で、図書館のより有効な活用が可能になってくる。
20)シンポジウムでは、ラーニングコモンズの実例として、大阪大学、上智大学、名古屋大学、九州大学、広島大学、金沢大学、金沢工業大学、横浜国立大学、筑波大学、新潟大学、大妻女子大学、法政大学、大正大学などの事例が紹介された。(おわり)
私はこうした動きを手放しで称賛はしない。学生運動以降、大学のキャンパスから学生の居場所を奪い続けてきたのは、ほかならぬ大学だからだ。黙って授業に出て、さっさと帰る大学生を作ってきたのは、大学側だ。長年、学生に自ら学ぶ力をつけさせないでおいて、いまさら焦ってこんなことを始めている。この怒りをどうしてくれよう。私たちは、大学で「学ばせてもらえなかった世代」なのだ。この後遺症はこれからもっと深くなる。勉強したい学生を勉強させてこなかった大学の責任は重い。
かつてよく言われた。「受験を乗り越えて大学に入ると、つまらない講義に失望する」と。それが大学だとみんな思っていた、いや、思わされていた。でもそれは嘘だった。大学の怠慢だった。そんな大学はゴミクズだ。そういったずさんな大学教育は、もう通用しない。私の研究の原点は、自分が受けた大学教育への「怒り」。今夜は久しぶりに自分の原点に返った。
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