6/23 左巻健男教授@samakitakeo講演会 |
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(2011/6/24 09:23時点)
1)6月23日(木)松戸市民劇場で開催された左巻健男@samakitakeo教授(法政大学生命科学部環境応用化学科)の講演「ニセ科学の見破り方、教えます!~波動水からマイナスイオンまで 世にはんらんする疑似科学になぜ人はだまされてしまうのか?」を聴いてきました。
2)マイナスイオン、トルマリン、ゲルマニウムなど「波動」系、血液型正貨判断、デトックス…などのニセ科学が世にあふれている。「水は言葉を理解する」もニセ科学である。血液型診断を信じるのは日本と韓国の人だけ。心理学者らが血液型と性格の関係を何度も統計的に調査したが、関係がなかった。
3)マイナスイオンは化学で学ぶ「陰イオン」とはまったく別物。滝の「マイナスイオン」が健康にいいという根拠はない。納豆ダイエットのねつ造で問題になった「発掘!あるある大事典(フジテレビ系)」がマイナスイオンブームの火付け役になった。
4)マイナスイオンの出るエアコン、冷蔵庫、パソコン、マッサージ器、ドライヤー、衣類、タオルまで登場した。ゲルマニウムやチタンのブレスレットやネックレスが、マイナスイオンが出るから健康に良いと宣伝されている。トルマリン入りの商品や磁石を使った浄水器もマイナスイオンをうたっている。
5)これらのマイナスイオンをうたった商品が、健康に良いという根拠はない。マイナスイオン測定器で測定したという数値をつけた宣伝もあるが、空気の分子数と比べると本当に微々たる数値だ。マイナスイオンブームは終わっているが、今でもアトピーが治る、がんが治るといって売っている。
6)健康雑誌やテレビや新聞・雑誌の広告の「体験談」は危険。これらはいくらでも捏造できる。もし体験談が本当でも、本当にその食品で治ったかどうかはわからない。慢性疾患や精神状態に影響を受けやすい病気は、何の効能もないニセ薬でも、プラセボ(プラシーボ)効果で効果が出ることもある。
7)「××大学で研究の結果が出た」という宣伝もあるが、試験管レベルのものや動物実験で結果が出ても、人間でそうなるとは限らない。日本は世界有数の長寿国で、大人の健康への執着は異常なほどであり、お金も少々持っている。しかも、科学的な知識もちょっとある。だからだまされる。
8)立ち止まって、「そんな一つや二つのもので、魔法のように健康になれるものなどあるのか」と考えること。常識は、いつも、「毎日のバランスのとれた食生活、適度な運動、適度にストレスを発散できる趣味などの活動」の重要性教えてくれるはずである。
9)活性酸素除去、抗酸化、還元作用、などを強調した食品や飲料がある。なんとか還元水、活性水素水などのうたい文句も。実証もされていない活性水素の存在を、さもあるかのような宣伝、本当に健康に良いかどうかわからないのに万病に効くような宣伝が、体験談オンパレードでされている。
10)抗酸化性で絶対に健康に良いと思われたベータカロチンを摂取するとガンになりやすいという大規模な試験の結果があった。ベータカロチンを含む野菜を摂取するのは健康に良いという結果があるのに、サプリメントのベータカロチンだけの摂取は危ない。
11)我が国の大人の傾向として、科学は大切だと思っているけど、興味や関心はない。科学と無関係でも、科学っぽい雰囲気をつくれば、ニセ科学をほいほいと信じてしまう。ニセ科学は科学への信頼感を利用している。「量子力学」「波動」など、科学っぽい言葉をちりばめた「物語」に酔う。
12)ニセ科学やオカルトが、テレビによって疑似体験化され、「実際にある」と思わされる。「テレビで見た、写真で見た」ことで、多くの人が「事実化」してしまう。たとえ自分が実際に体験したことであっても、錯誤、ある体験だけ記憶、確証傾向(合致したことだけに注目)などに注意。
13)ニセ科学を広める人たちが狙うのは、人を4段階に分けて、その第一のタイプの「先覚者」(2%くらい)。男女比は2:8で女性がメイン。第二のタイプは「素直な人」(20%)。「先覚者」の言うことに素直に耳を傾ける。第三のタイプは「普通の人」(70%)。最後が「抵抗者」(10%弱)。
14)「抵抗者」は50歳以上の男性に多い。職業的には学者、マスコミ人。それで彼らは「抵抗者」は無視する。第一の「先覚者」の3・4割が動き出すと、「素直な人」の半分ぐらいが同調する。さらに「普通の人」が追随する。これは大衆の心をつかむマーケティング理論。
15)先覚者や素直な人は特にニセ科学に引っ掛かりやすい。ニセ科学は知的レベルが低い人を動かそうと狙っている。いまや教員にもかなりいて、「水にきれいな言葉をかけると美しい結晶になる」とか小学生に教えている。理科ではなく道徳とかで。彼らは「科学ではわからないことがある」という。
16)科学ではわからないことがあるのは確かにそうだが、わかってきたことも膨大にあり、真実の基盤は増え続けている。そういった真実の基盤でものを考えることができることが必要である。ニセ科学の肯定者の行きつく先はカルト教団やファシズムだ。
17)合理主義的思考や、科学的手続き無しの安易な肯定は、ファシズムなどに流されやすい。だまされないための基本は「知は力」ということ。ニセ科学に引っ掛からないセンスと知力、科学リテラシー(科学の常識)が求められる。(左巻教授の講演終わり)
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