流通科学大学 ステューデント・イノベーション・カレッジ |
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)
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ステューデント・イノベーション・カレッジ(通称「Sカレ」)は、流通科学大学、および同志社大学、法政大学、明治大学など17大学25ゼミ(115チーム)、368名(2011年度)が参加するイベントである。
参加するのは主に商学部や経営学部などでマーケティングを学ぶゼミの3年生。毎年6月末から11月末までの半年をかけて、企業の新商品開発のコンペティションを行う。学生たちは、マーケティング、商品企画、プレゼンテーションなど、商品開発に必要なプロセスを経験できる。
実際のユーザーと対話しながら、商品企画を進める、実践的なマーケティングを学ぶこのイベントに参加する企業は、2011年度は13社。大阪ハンドバッグ協同組合、象印マホービン、ネスレ日本など、西日本の製造業を中心とした企業が、学生に企画を依頼する。
学生たちはゼミごとに3人1組のチームを作る。偏りが発生しないよう、担当企業、担当テーマはゼミごとに複数与えられ、学生たちは自分たちで調整して、どのゼミがどの企業の商品企画を担当するかを決める。企業開拓は、教員個人のネットワークなどで広げている。
6月末の開会式の後、7~9月の主に夏休み中などに、学生たちはチームごとに製品企画をする。10月には株式会社空想生活の協力で、Sカレの専用サイトをオープンし、ここに自分たちが考えた商品を公開。空想生活のサイトで会員になっている数万人の
参加者から、意見や改善案をもらい、改良を繰り返す。革小物、木工製品、カバン、ユニバーサルデザイン家具などの商品の見本を、自分たちで作り、サイトにアップし、一般人の声を受けて改良する。こうした作業は週1回のゼミの時間だけでは足りないので、
授業外でも学生同士で学ぶ機会が自然と多くなる。チームごとにマーケティング調査をしたり、試作品を作ったりする。参加する各大学のゼミでは、3年生のゼミ活動の中心にSカレを位置付けている。
約30チームすべてがプレゼンをし、企業側に優勝チームを決めてもらう。優勝チームは大会終了後半年をめどに商品化を目指し、メーカーと打ち合わせを繰り返す。大量生産品ではないものがほとんどだが、実際に商品化にこぎつけるものはわずかだ。
学生たちが大会を終えるのは3年生の11月。立派な報告書を携えて、学生たちはしっかり学んだ自信を持ち、就職活動に臨んでいく。Sカレで培ったチームワークやプレゼン能力は、社会に出るにあたり、如何なく発揮されることだろう。
Sカレは就職活動の前の3年生だけが役立つものではない。昨年、大会を体験した4年生には、学生委員としてかかわってもらう。進行や企画をサポートすることで、内定を終えた4年生にとっても、「勉強になった」と好評だ。
学生たちは、単に見た目が売れそうな商品を作るだけではない。原材料費やコストについても当然考えなければならない。メーカーは素材や技術のこだわりだけではなく、コストも考えて商品化チームを選ぶため、プレゼンの場ではそこまで考えたチームが勝つ。
Sカレは、各大学の公式な教育プログラムではなく、あくまでもマーケティングを専門とするゼミの集合体のイベントであるため、学生はSカレに参加しているゼミに入らない限りは、普通の大学生活である。しかし、マーケティングの理論と実践を3年次にしっかり
学び、社会人基礎力を身につけて就職活動に臨みたい学生は、Sカレに参加するゼミを選ぶと良いだろう。他大学の仲間たちと商品開発やプレゼンを競い合う経験は、何物にも代えがたい体験となるはずだ。(終)
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