怒りと憎しみの違い(アリストテレス『弁論術』から) |
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1)ところで、怒りは自分に対する仕打ちを原因として生ずるが、敵意は、「自分に対する」という条件なしでも生ずる。なぜなら、誰かをこれこれの人間であると見る場合にも、われわれはその者を憎むからである。
2)また、怒りは常に個別的なものに関わる、例えば、カリアスとかソクラテスに怒りを抱くというように、だが、憎しみのほうは、その類全体に対しても向けられる。なぜなら、誰でも「泥棒」や「密告者」を憎むからである。
3)また、怒りは時がたつにつれ癒されるが、憎しみのほうは癒すことができない。また、前者は相手の苦痛が狙いであるが、後者は相手の悪を求めている。というのは、怒っている人は、相手がそれを仕返しと気づくことを願っているけれども、
4)憎んでいる人にとっては、気づくかどうかは全く問題ではないからである。因みに、苦痛をもたらすものはすべて感覚されるが、悪の最たるものは決して感じられるということがない。例えば、不正や分別の無さがそうである。
5)なぜなら、悪が手許にあっても、そのことはなんら苦しみを与えないからである。また、怒りは苦痛を伴うが、憎しみは苦痛を伴わない。なぜなら、怒っている人は苦痛を感じているが、憎んでいる人は感じていないからである。
6)また、怒っている人は、状況に様々な変化があると、相手を憐れむこともあろうが、憎んでいる人には、どんなことがあっても憐れむということはない。なぜなら、前者は、怒りをぶつけている相手が報いの苦しみを味わうことを望んでいるが、後者は、
7)相手が全くいなくなることを望んでいるからである。
以上、怒りと憎しみの違い(アリストテレス『弁論術』)から。私はこれを読んでパレスチナ問題を思い浮かべた。(終)
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