私が取材を受けたVIEW大学版の記事がアップされました。 |
私が取材を受けたVIEW大学版の記事がアップされました。
http://benesse.jp/berd/center/open/dai/view21/2011/12/index.html
http://benesse.jp/berd/center/open/dai/view21/2011/12/pdf/08.pdf
退屈でつまらない授業、丸写しが横行するレポート、そしてたとえ居眠りしても出席さえすれば取得できる単位。大学生になったばかりの頃、「大学なんてそういうものだろう」と私も納得していました。しかし、次第に「本当にこれでよいのだろうか」と思うようになり、いろいろな大学を訪ね歩くようになりました。15 年ほど前のことです。以来、全国47 都道府県全ての大学を訪問し、キャンパスを歩き、学生や教職員と語り合い、ときには授業を聴講したりしながら、日本の大学を見てきました。
実際に大学に行ってみて分かったことは、世間一般のイメージと実態のギャップの大きさです。例えば、社会状況の変化に伴い、大学に対して官民いずれからも教育改革が強く求められているのは周知の事実ですが、その進み具合は大学によって著しく異なります。しかも誰でも知っているような有名大学ほど、旧態依然としたマスプロ教育がほとんど改善されていないと私は感じます。
これからの社会はグローバル人材を必要としており、課題発見・解決力やコミュニケーション能力を大学は育成しなければならないと皆が言っているのに、大学だけがそれを無視しているように見えるのです。偏差値と知名度を重視する高校生と保護者にしか、大学は目を向けていないからでしょうか。これでは国際的な競争に打ち勝つ人材は育成できないでしょうし、競争に生き残った企業も、日本の大学出身の人材を採用しなくなってしまうでしょう。
ひと言で言えば、大学の状況は二極化していると思います。教授会などが社会のニーズや若手教員の提言を受け止め、教育改革に向けて努力している大学とそうでない大学に二分されています。しかも困ったことに、教育改革の進捗度と学生の人気はなかなか一致しない。受験生や保護者だけでなく高校教員にも大学を中身で選ぶ視点が育っていません。教育産業が大学の中身をしっかり伝えてこなかったこともその要因の一つです。
しかし、そんななかでも、質の高い教育を受けた人材が少しずつ社会に出ている。彼らが活躍を始めれば、人々の大学を見る視点も豊かになり、状況はもう少し変わるかもしれません。
本来、私たちが大学の教育力を評価する際に見るべきポイントと、大学が自校の教育力をアピールするために伝えるべきポイントは同じはずです。私はその一つに、教員一人当たりの学生数を挙げています。
そもそも世界の名門大学と比べて、日本の大学は教員一人当たりの学生数が多すぎます。これまではマスプロ教育でもよかったのでしょうが、しかし、今はそれだけでは社会で通用する人材を育てることが出来ません。「3、4年生になってゼミに所属してから少人数で鍛えればよい」という声もありますが、それは間違いです。推薦・AO入試に安易に流れる受験生が多いことからも分かるように、最近の学生は高い目標に向かって粘り強く学習する経験が少ない。1、2年生の間にマスプロ教育の下、楽をして過ごせば、3年生になっても勉強しようとは思わないでしょう。そもそも大規模大学には、全員がゼミに入れないところも多いのです。
そこで重要になるのが、1年次の導入ゼミだと思います。それも補習教育のようなものではなく、少人数のグループ単位でハイレベルの学問、文理融合型の学問に触れさせ、考える力を養う授業です。1年生のときに少人数で丁寧な指導を行い、しっかり鍛えれば大学生としてのものの考え方、学習習慣が身に付き、4年間の過ごし方が変わり、結果的に就職実績も向上するはずです。エントリーシートの書き方などではない、社会に出ても役立つキャリアの基盤を大学らしいきめ細かな学びを通して築くことが重要だと思います。
大学の教育力を見るもう一つのポイントは、アクティブラーニングやPBLなどの課題解決型の授業の有無です。どれくらいの講座があるのか、どれくらいの割合の学生が受講できるのかをチェックすることを高校生や保護者に勧めています。
アクティブラーニングやPBLなどの課題解決型の授業を私が重視するのは、思考力やコミュニケーション能力を育成できるからだけではありません。何より、協同的な学びのなかで質の高い友人関係が出来るからです。アルバイトや遊びではない、学問の友人です。
「友だちづくりなんて、それこそ個人の問題だ」と言われそうですが、大学生の人間関係の構築力の弱さを、大学関係者は実感しているはずです。もはや個人の問題ではなく、大学が学びのシステムを変えながら、対応すべき問題です。それに気が付いている大学は、TA(ティーチング・アシスタント)制を導入したり、学生が空き時間に自由に立ち寄って勉強したり、外国人講師や専属スタッフと英語でおしゃべりしたりすることができるスペースをつくっています。そういう小さな配慮も、学生の4年間を大きく変えるでしょう。
「大学に進学したけれど、期待していたような高い教育を受けられなかった」という、大学と大学生の間のギャップをなくしたい、と私は強く思います。そのために、教育改革をしっかり行っている大学の現状と成果を、まだ動き出していない大学関係者に伝えて改革への動機付けとしたいですし、高校生や保護者に伝えて大学を見る目を養ってもらいたい。それは日本の大学の再生にきっとつながると信じています。
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