英国の大学の「サンドウィッチ教育」 |
1)英国の「サンドウィッチ教育」について。ブルネル大学の事例。ロンドンにある8学部1万4000人の中堅大学。在学中に合計1年間のワーク・プレイスメントに参加する「サンドウィッチ・ディグリー」を40年以上実施している。
2)1956年開始。12カ月のプログラムと6カ月×2回のプログラムがある。ビジネスやテクノロジーを専攻する学生は3年目にWork Placementに参加し、4年目に大学に戻る。社会科学系を専攻する学生は、2年目の前半に参加、その後1年大学に通い、再び6か月間参加する。
3)サンドウィッチ・ディグリー以外に、夏休みの3か月間のインターンシッププログラムもあるが、単位としては認められない。給与は支払われ、1年間平均1万4000ポンド。最低でも交通費は受入企業・団体が支払う。
4)サンドウィッチ教育を受け入れる企業は、大企業、中小企業とも、学生を戦力として活用するメリットを感じて受け入れている。大企業は新卒採用のルートとしても活用。企業メリットや教育効果の実現に向け、学生に対する事前・事後の講義や期間中のサポートも充実している。
5)学生には名の知れた大企業が人気。しかし、好成績が必要となるため、成績の基準に満たない学生には、中小企業のメリット(大企業よりも仕事を任されやすい等)を説明した上で、併せて検討を進める。大学の仲介なしに学生が自ら受入先を見つけてくることもある。学部により10~30%ほど。
6)受入企業・団体のメリット。必要だが未着手の業務や、正規社員が担うレベルでは無い業務で学生を活用できる。大企業の場合は正規採用に活用。中小企業では採用を主目的としておらず、社内に新しいアイデアをもたらすのが目的。SNSなど学生が得意なポジションに入れ替わりで割り当てる。
7)大企業は採用慣行との関係でインターンシップが社内制度として確立し、定期的に一定数募集することが多いが、中小企業の場合は人手が必要となった時に、地元の大学に養成を出すことが多い。受け入れ期間終了後は、企業側のレポートと学生のフィードバックを参考に教授も含め大学側で評価を行う。
8)2年連続で学生から不満が出ている企業には、次年度に入る前に話し合いの場を持ち、改善を目指す。
9)学生に対するサポート 学部によって異なるが、1年次から就職について考えさせるようにしており、履歴書の書き方などの就職活動支援を1年次から進めている。2年次からの学部もある。事前のプログラムは単位として認めている。12か月のプログラムの場合は、1年間を通して大学がサポートする。
10)期間中に3回レポートを提出し、学生の意欲が下がらないようモニタリング。評価は教授が担当。1回目は12月、自己成長に関する計画書。受入先の上司と相談しながら、期間中に達成したい目標を決める。2回目は3月。企業の事業モデルや成長戦略、市場における競合他社との関係性をまとめる。
11)3回目は4月、実務経験を学術的理論に当てはめて考えを書く。大学のスタッフが企業を訪問することもある。途中で辞める学生は0.2~0.3%とかなり少数。サポートに加え、辞めてしまうと卒業できなくなるのも要因。
12)大学のキャリア部門内に専門課を設置し、キャリアカウンセリング資格や人事・採用業務の専門人材が学生をサポート。キャリア部門に35人のスタッフがおり、そのうち15人がWark Placement担当。専門性の高いプロフェッショナルスタッフと事務局スタッフで構成。
13)プロフェッショナル・スタッフは、学生や企業に対する直接のサポートを担当する。事務局スタッフは、求人情報の掲載や企業との面談の調整などの事務的業務を行う。プロ・スタッフは、キャリアカウンセリング資格保持者や人事・採用業務経験者、関連する修士号・博士号保持者など、
14)すでに専門性や経験を持った人物を採用。内部でゼロから育成はしない。
15)年1回、受入企業と学生が一同に会する「チュートリアル・デイ」を実施。学生と受け入れ先のマネージャーの両方が参加し、双方がプレゼン。学生は現場で何を学んだかを発表。受入先のマネージャーは学生を受け入れて得られたメリットを発表。
16)「チュートリアル・デイ」では、昨年度Work Placementに参加した学生及び受入企業・団体からそれぞれ優秀者を選抜し表彰。学生・受入先双方のモチベーションを向上させる。学生にとっては受賞歴を履歴書に書けるメリットがあり、競争率が高い就職活動で有利になる。
17)ロンドン・メトロポリタン大学は、大学のランキングは高くないが、専門スタッフの雇用やプログラムの工夫により、インターンシップやサンドウィッチ・プログラムを積極的に推進。エンプロイヤビリティ向上の取り組みを進めている。
18)同大学は5学部3万人、全英大学ランキング118位。1年間の履修単位の半分15単位(140時間)を就労体験にあてることができ、学生はその制度を活用してインターンシップに取り組む。夏休みにまとめて働くか、学期中にパートタイムで週15~20時間働くかを選択。
19)サンドウィッチ・プログラムとして30単位取得することも可能。専攻分野と密接に関係する仕事を選ぶ。毎年20名前後の学生が参加。学生の評価方法は、提出されたレポートと雇用者からの評価。受入れ団体は中小企業が多い。
20)受入企業・団体に対する大学からのサポート 就労体験期間の始まりと終わりに連絡を取る。期間中に問題が発生した時など、必要に応じてできる限りのサポートをする。働き始めた学生に対しては、全3回のワークショップへの出席が必須。就労体験の重要さや、評価を受けることで個々の
21)エンプロイヤビリティを改善できることなどを説明。プレイスメント期間中を通じて、全4回のビデオプレゼンテーションを作成する。1回目 プレイスメント先の組織の調査・分析(組織構成、リーダーシップ論、マネジメント方法などに基づく)2回目 職場での仕事遂行能力向上(課題解決能力等)
22)3回目 伝達スキル(チームワーク、コミュニケーションなど)販売・経理などの分野に関する知識の習得。4回目 職務経験を通じていかに成長できたか。その経験を今後どのようにキャリア形成につなげていくかについて発表。
23)まだ働いていない学生に対しては、仕事の探し方、応募の方法、面接の準備方法などを随時指導。サンドウィッチ・プログラムを希望する学生には、就業先を探す段階で全9回のワークショップを開催。1人ずつチューターがつき、面談や学生評価をする。
24)大学側のスタッフに求める資質 教育の分野で大学院を出ていることが要件となるが、アカデミック出身ではなく、キャリア支援や就労支援などの分野で経験を積んできた人が大半である。(おわり)
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