社会科学系はゼミや卒論が必修じゃなくていいのか |
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ある高偏差値のマンモス私大の社会科学系学部の先生は私に、「ウチがゼミや卒論が必修でないのは、学生の多様なニーズに応えたものだ」とおっしゃいました。一理あるでしょう。しかし、その学生が数百人で黙って講義を聞くだけの「経済学入門」だけで卒業していいのでしょうか?
学生時代に大講義を黙って聞くだけの学生生活を送っても、有名私大の文系学生は、受験時の基礎学力は高いため、割と良い会社に就職できます。でも、ゼミに所属せず、卒論を書かず、恩師と呼べる大学教員に一人も出会わない大学生活を送ることは、あまりにも空しくないでしょうか。
一橋大学商学部の松井ゼミで学生が謀反 学生「卒論が厳しすぎるため集団でボイコットさせていただきます」 - NAVER まとめ http://matome.naver.jp/odai/2142054523009308901
天下の慶應義塾大学経済学部でも、専門ゼミ所属率は6~7割です。言うまでもなく一橋は必修です。慶應では、「ゼミに入らなくても附属出身者は就職に強い」なんて話もありますが、望んでも入れなかった「ゼミなしっ子」は、入ゼミ生と比べて就職実績が劣ると内部の関係者に聞きました。
ある名門私大の経済学部長は、FD講演会で私に、「ゼミに入っていない50%の学生の就職など知らん」と言い放ちました。しかしそもそも、在学生の50%しかゼミに入れない仕組みを作り出したのは、当の大学側なのです。それならばいっそ、入学定員も半減させるべきでしょう。
今、スーパーグローバル大学を含む、多くの大学が取り組んでいる「グローバル化」は、英語の授業や留学制度の充実であり、必ずしも学部教育の水準がグローバル化しているわけではありません。大講義を一方的に聞くだけで卒業して、どこがグローバル水準の学部教育なのでしょう。
教員も事務作業や入試業務で疲弊し、教育・研究に時間を割けない大学の、どこがグローバルなのでしょう。もうお気づきでしょう。「自分たちはグローバルだ」と国内に向けて言っているのは、「日本はすごい」「日本は世界から認められている」と自分で言っている本やテレビ番組と同じなのです。
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