奈良県立大学 伊藤忠通学長インタビュー |

1)奈良県立大学 伊藤忠通学長インタビュー 私たちの大学は、1953年に開学した夜間の商業系短大を、1990年に4年制大学商学部に改組した大学です。当初は夜間だけの大学でしたが、2001年に昼夜開講制の地域創造学部に改組し、今は昼間だけの大学になりました。女子学生が7割です。
2)公立大学のミッションは、地域の課題を解決することです。奈良県には日本の課題が全部あります。少子高齢化、過疎化、地域振興、医療etc…。こうした問題意識から、商学部から地域創造学部へと2001年に変えました。近年増加している地域系学部の先駆者と自負しています。
3)観光系と経済系の2学科定員150人でやってきましたが、他にない教育をと考え、2014年から地域創造学科の1学科に改組し、4つの学びの領域「コモンズ」を導入しました。「観光創造」「都市文化」「コミュニティデザイン」「地域経済」です。これは単なるコース制ではありません。
4)学生の学び方だけでなく、先生の教え方をも変えるのです。コモンズは学科ではなく、学びの共同体です。学生は2~4年次に自分のコモンズに所属します。1学年約40人弱です。ここに、8人の教員が専門分野ごとに所属します。8人の教員がチームで教育をするのです。
5)コモンズの教員は月1回集まって会議をし、自分の専門に閉じこもることなく、互いの授業の情報交換をします。こうして、教員の授業のやり方が変わります。ゼミも教員ごとではなく、学生は8人の教員から選んで学べます。ミクロ経済学+マクロ経済学、経済政策+経済理論などの学びが可能です。
6)最近流行のラーニングコモンズは、学生が集まって学ぶ場づくりです。ウチは、教える側も集まりましょう。ということです。つまりコモンズとは、ハードではなくソフトのことです。2~4年生の専門ゼミは週4回、8人の教員が交代したりグループで行います。1年次の基礎ゼミは1クラス13人です。
7)1学年に、8人の教員と40人弱の学生によるコモンズが4つあるわけです。もちろん、ソフトだけではありません。今後数年で校舎を増改築し、コモンズごとに個人ロッカーのあるコモンズ専用の教室を作ります。ここは、学生にとって自分の居場所となる部屋であり、ゼミ以外の時間は自由に使えます。
8)ゼミは週4と申しましたが、火・木曜日に90分×2コマ連続で行い、16単位です。2・3年ゼミはそれぞれ16単位、1年ゼミは4単位、4年ゼミは週2コマ8単位なので、4年間の全124単位中、実に44単位がゼミです。卒論は必修で、主担当の教員以外に7人の教員がサポートします。
9)学年を越えて、同じコモンズ内の3学年合同ゼミも、年に1・2回開催します。さらに、同じ学年の4つのコモンズの150人が集まったインターゼミも実施します。フィールドワーク8単位も必修です。これは2~4年次に学生が自分で計画を立てて実施します。大学がおぜん立てするのではありません。
10)フィールドワークは8単位ありますので、2~4年次に、違うことをしても良いのです。1単位×8つのフィールドワークすら認めます。もちろん、こちらが納得のいく計画書を出せればですが。このように、学生の自主性に任せたかなり自由なカリキュラムにしました。
11)本学は1学年150人、全学生数600人の社会科学系の単科大学であり、大学院もなく、教職課程もありません。学位は地域創造です。小規模な、学部教育重視の公立大学です。コモンズ教育やフィールドワークによって、学生時代から、人と社会と関わり、たくましく育ってほしい。
12)どんな分野に行っても活躍できる学生を育てたいと考えています。学生に対する教員の手間暇は、かなりかかります。でも、先生方には覚悟していただきたい。いきなり先生方の意識は変われないと思いますが、まずは先生自身が変わってほしい。新規の教員からは、全員任期制です。
13)教員の意識改革をしたい。研究、教育、地域貢献の3つの柱を重視しますが、教員個人の特性によって、得意な分野に力を入れていただいても結構です。そのための8人でのコモンズ制ですから。チーム内で分担してほしい。ティームティーチングで互いの先生の授業を知りながら。
14)もちろん、学生にも真摯に学んでほしいので、毎年進級判定をします。厳しくも質の高い教育をしますので、学生も覚悟を持ってきてほしい。各コモンズの部屋は夜10時まで使えるようにしますので、大いに大学を活用し、自らの学びを深めていってほしいと思います。(終わり)

岡本健 准教授の研究室
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