奈良大学の千田嘉博 学長にお会いしてきました |

1)奈良大学の千田嘉博 学長にお会いしてきました。千田学長は安土城、大坂城などの、城郭の専門家として大変著名です。奈良大学は1969年に開学した文学部と社会学部だけの小さな大学ですが、私が受験生の頃から、国文学、歴史学、地理学、文化財学、考古学などで知られていました。
2)人文学の素晴らしい伝統を誇る奈良大学ですが、規模の小ささもあり、昨今は学生募集で苦戦気味です。千田学長は奈良大卒の学長として、母校を盛り立てようと奮闘なさっています。学長いわく、奈良大学の魅力はまず「本物に学ぶ」こと。歴史ある奈良市にキャンパスがあることが最大の魅力です。
3)次に、1学年600人定員という、小規模な大学であること。そのため、教員が一人一人の学生に目が届いたオーダーメイドの教育ができます。しかも専門家の層が厚い。国文学8人、史学10人、地理学8人、文化財学11人など、大規模な大学と比較しても、文学部の教員数と質の高さは劣りません。
4)「大規模な大学の文学部であっても、特定の時代の文学や歴史の先生が不在の大学があります。本学は古代から現代まで、どの時代にも専門家の教員がいます」と千田学長。なかでも文化財学科は、考古学、美術史、史料学、保存科学のスタッフを抱え、難関とされる学芸員の卒業生も全国に多数います。
5)日本の埋蔵文化財の専門職員の、実に1割が、奈良大学の卒業生です(http://www.nara-u.ac.jp/admission/outline/about_map_list.html)。年間約350名もの求人があります。資格だけ取れて就職が無いと言われる博物館学芸員ですが、奈良大学は偏差値に関係なく、本当に学芸員に就職できる数少ない大学です。
6)このような魅力ある奈良大学が、学生募集で苦戦している理由の一つは、近隣の大規模大学に人文社会系学部が増えてきたことです。京都産業大学文化学部、龍谷大学社会学部、近畿大学文芸学部、総合社会学部など。さらに、心理学科、文化財学科も後発組が増加してきました。
7)奈良大学に非があるわけでも、失策があるわけでもないのですが、結果的に、受験生は有名で偏差値の高い大規模大学に流れてしまいます。ただでさえ文学部と社会学部という比較的就職に不利なイメージの学部だけでやっている奈良大学にとって、ここ十数年は逆境の時代と言えます。
8)しかし、国語や地理歴史が好きで、それを専門に学びたい人文系の高校生は、潜在的には多いはずです。なんとなく経済学部、経営学部、法学部を選ぶ受験生よりも、やりたいことが決まっている学生が多いためか、学生はみな授業に集中しており、一生懸命勉強していると千田学長は言います。
9)奈良大学に問われているのは、大きく2つの課題です。まず、「文学部が何の役に立つのか」というキャリア教育の視点。次に「文系学部の中で、文学部はどんな価値があるのか」という学問的な視点です。奈良大学は十分なリソースがあるにも関わらず、広報で大規模大学の後塵を拝してきました。
10)しかし、国文学、史学、地理学、文化財学は、高校生や保護者にもわかりやすく、生涯学習の面でも関心が高いテーマです。奈良大学の教育の優位性と、就職先という出口の的確なPRをすれば、奈良市と言う立地を生かし、十分に全国の受験生に訴求できると思います。(終わり)

文化財学科の共同研究室

千田嘉博学長と私

国文学科の研究室。学生が使える共同研究室や、ゼミをやる演習室がユニットになっている。非常勤講師室も学科ごとにあるのだろうか。

学生ラウンジにあるサークルごとの掲示板。最近の新しいキャンパスには、こうした学生の自主的な活動を支援する取り組みが、まったくなくなってしまった。奈良大学には古き良きサークル文化が残っている。

こうしたマンガやドラマに登場しそうな小物も、昨今の大学ではあまりみかけない。

国文学科 ゼミごとの掲示板
奈良大学は、学科ごとの共同研究室、サークルの掲示板、ゼミごとの掲示板、広い学生ラウンジ、充実したサークル部室など、学生が学びの面でもプライベートでも学生同士の活動でも活用できる、充実した設備が整っている素晴らしい大学です。ラーニングコモンズはあるがサークル部室が無い大学は、これがわかっていない。
*今回の取材は、奈良大学 学生支援センター 課長補佐 森 太郎 様にご尽力賜りました。
大変ありがとうございます。
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