オックスフォード大学日本事務所代表 アリソン・ビール |
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43521
留学する生徒を増やす、外国からの留学生を増やす、ということが主な議論の一つとなっています。しかし、それよりも大学自体が変わる必要があるのではないかと感じています。例えば、学生寮では留学生と日本の学生が分けられ交流が無かったりします。また、世界では優秀な教授を引き抜くことが一つのトレンドとなっていますが、日本では外国人教員の数も多くありません。優秀な海外の教授を呼ぶには、競争力のある給与や手当など、柔軟に大学の環境を変えなければいけません。もう一点、日本の大学は独自で改革を行うというより、文部科学省の財政支援や助言を意識して大学の改革を進めているように感じます。
大学の国際化に向けては、表層的な部分だけではなく、まずは自らの強みを分析・活用し、中身の制度などを根本的に変えていく必要があると思っています。世界から優秀な人材を集めるには、提携校の数や交換留学の機会がたくさんあるということよりも、まず大学全体の中身が充実し、伝わらなければいけないと思います。
PEAK合格者の7割が入学辞退したというニュースがありました。日本の大学は、国際プログラムで、あえて「国際性」を一つの看板にし、学内の一部のプログラムだけがグローバルな環境になっていて、不自然な状態に見えます。他方でオックスブリッジの場合は、コース自体の環境と教育が魅力だから全世界から人が集まり、結果としてどのプログラムにも当たり前のように留学生や外国人教員がいて、大学全体が「国際的」になっています。
欧米の大学を追いかけて、提供するプログラムを単純に英語化してしまうと、競争相手が増えるだけです。私は、無理に全ての授業を英語で提供する必要は無く、日本の大学はもっと日本の良さを知り、分析してカリキュラムを提供していくことが重要だと考えています。日本の良さは、今話題になっているポップカルチャー以外にもたくさんあります。例えば、歴史や文化の深さ、現代ハイアート、日本独特の社会構造などがあります。ビジネスの面で日本に興味を持つ人もいます。イギリス人は、日本の企業のマネジメントサイクル、意思決定システム、サプライチェーン・マネジメント、先端技術など、日本企業の独特な強みを知りたい人も多いです。
イギリスでは、留学の方法(タイミング)が異なっているため、イギリスから日本に留学するチャンスが狭くなっているのです。例えば、高校生は大学入学前に、大学生は大学卒業後にギャップイヤーを取って1年間海外留学やボランティア活動を行う人が多いですが、彼らは大学に所属していないため、提携先との交換留学制度が主流な日本の大学で学びたくても機会がなかなかありません。
もう一つ、日本の大学は卒業を厳しくすることが大切です。試験の評価の仕方も課題です。イギリスでは、厳しい成績評価、学位授与の基準があり、試験は外部試験官を採用し、厳重に採点が行われます。日本では、授業を教えている先生のみが生徒を評価していることが多いのではないでしょうか。授業を受ける人数が多すぎるため、正当な評価プロセスがし辛いこともあるのかもしれません。

