東大を辞め、税金に依存しないで研究を続ける先生が現れた。 |
東大を辞職して
上昌広
特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所 理事長
http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/resign-university-of-tokyo_b_9677682.html
2004年の独法化以降、国立大学はトップダウン型の組織に変わろうとしている。ただ、毎月の教授会で多くのことが決まる。意思決定は遅い。
また、運営費交付金が削減され、経営状態は悪い。科学研究費を含めた外部資金の獲得に熱心にならざるを得ない。これは二つの意味で問題がある。
まずは、研究者が外部資金を獲得した場合、約3割を間接経費として大学に供出することだ。我々の研究室の場合、毎年約2000万円を支払っていた。
もう一つは、この制度下では、研究成果よりも、外部資金の獲得額が重視されることだ。本来、研究費は目的遂行のための「コスト」であり、安いほどいい。ところが、研究コストが高いほど、大学はもうかる。これでは競争力はつかない。
一方、税金から研究費が支払われれば、膨大な手続きが求められる。科研費の申請書や報告書作成は若者にとり時間の無駄だ。
もし、活動資金を税金に依存しなければ、高い生産性を維持しながら、自由に活動できるはずだ。現に米国ではNPOや非政府組織(NGO)が研究分野でも大きな役割を果たしている。
幸い、医師はプロフェッショナルだ。患者を診療して、対価を得ることが出来る。サラリーマンと違い、組織を離れても生きていける。
臨床研究では、新薬や特別な検査を使わない限り、大半の費用は診療報酬で賄われる。基礎研究のように、すべての費用を研究費として調達する必要がない。
このような特性を活かせば、診療をしながら、研究を続けることも可能だ。税金に依存しなくても、若手を育成することもできる。