共通テストは本当の入試改革ではない |
合格が難しいから志望校の難易度を下げる。というのは、一般選抜ならありうる話ですが、総合型選抜ならありえない話です。自分がやってきたことと、大学が求めているものに応えている自信があれば、どんな高校だろうが難関大学に挑戦できるのが総合型選抜だからです。
今回の入試改革の本当の目玉は、共通テストでも英語外部試験でも記述式でもなく、「共通テストなしの総合型選抜で受験できる国公立大学が激増している事」「早慶も4割が推薦」で、受験の本質が変わりつつあることです。ある意味、共通テストや、難関私大の一般選抜こそ「古い」のです。
小学校の頃から駅前の塾に通って名門中学、高校、大学を目指す。塾に貼ってある名門学校の名前。それらを見ていると、それだけが人生に見えますが、間違いです。あれは全部一般型選抜がゴールです。総合型選抜はむしろ、自分だけの興味のあるテーマを探して研究をするヒマな時間が必要です。
相手が中高生だからと、「探究」という言葉でお茶を濁すのは間違いです。大学の先生方はためらうかもしれませんが、はっきり言うべきです。「研究」と。
探究(inquiry) 知識を論証すること、疑念を解消すること、ないしは問題解決をする目的のある思考過程のこと。ちなみに、inquiryを和訳すると、「質問、問い合わせ」でしかありません。
研究(research) ある特定の物事について、人間の知識を集めて考察し、実験、観察、調査などを通して調べて、その物事についての事実を深く追求する一連の過程のこと。
探究(inquiry)と研究(research)は全く違います。子どもたちは研究するべきです。小学生ですら夏休みは自由研究しているんですから。
共通テストが問題が多いから、従来のセンター試験に戻せ。というのも、個人的には違うかなと。中高生が自分で考えて「研究」してきた成果を大学が独自に判断すればいい。学力の証明はセンター試験や共通テストなしでもできる。そうでなければ国立大や名門私大にあんなにセンター無し推薦が存在しない。
『ドラゴン桜2』を読んで感じるのは、せっかく点数競争ではなく、本質的な学びの話をしているのだから、推薦で東大に入ることをゴールにしたほうが盛り上がるんじゃないかと。ちょうど1高校から東大に出願できる人数の男女2人が主役だし。
名門私大の顔をしながら4割を指定校推薦で入れている某大学や、附属高校から大量に生徒が内部進学する名門私大は、「推薦組の方が学力が低い」とは死んでも言いません。つまり、一般入試は、受験生が多いからやむを得ずやっているだけで、本当は合格者を選ぶには他の方法があるのです。
東大合格を想定した大学入学共通テストよりも、マジョリティーが受験する私立大学の一般入試のあり方の本質を変えることの方が、実は入試改革では重要なのかもしれません。

