デザインと経営の力で、社会の問題を解決しよう! 東京理科大学 経営学部 国際デザイン経営学科 |
デザインと経営の力で、社会の問題を解決しよう!
東京理科大学 経営学部 国際デザイン経営学科(2021年4月開設予定)
(写真)左から、深見嘉明先生、飯島淳一先生、私(山内太地)、八木澤優記先生
高校生の皆さんには信じられないかもしれませんが、難関、有名とされる大学に進学した少なくない人たちが、大学に失望するのです。医学や情報学といった理系なら、そういうことはあまりないですが、問題は文系です。それも、文学や歴史、心理学などではなく、経済学、経営学といった社会科学系です。
それは、社会の問題を解決したいと思っていたのに、大学はそういう場ではなかったということです。皆さんは高校で探究学習をがんばって、問いを立ててきたはずです。地域の発展の問題、医療の問題、教育の問題など。大学に入れば、それらの問題を解決するヒントが得られるのではないか?
ところが、実際に入ってみると、そうとは限らない。あくまでも経済学や経営学は、本の世界から理論を学ぶ机上の学問の場であって、若者の問題意識に応えてくれる、解決策を先生が一緒に考えてくれたり、ヒントを与えてくれる場ではない。と感じてしまうような教育内容の大学が多い……。
私はこの道20年、ずっとこの矛盾を感じていました。若々しい問題意識を持った大学生が、それをうまくアウトプットする場が無く、いつしか学問に対する意欲を失い、結局はなし崩し的に就活し、日本は20年、30年と衰退していきました。これでいいのか?
ついに現れたのです。皆さんのそんな若々しい問題意識、世の中を何とか良い方向に変えたい。そんな情熱を、形にしてくれる大学が!
東京理科大学 経営学部 国際デザイン経営学科(2021年4月開設予定)
大きくは経営学部です。明治、青山学院、立教、法政、中央(国際経営学部)にもありますね。企業のビジネスを学ぶ学部で、志望する人も多いと思います。東京理科大学にも、すでに経営学部経営学科はあります。国際デザイン経営学科は、何が違うのでしょうか。
「デザインという言葉が入っています。ここがポイントです」(飯島淳一先生)
●飯島淳一(いいじま・じゅんいち)先生
東京工業大学工学部制御工学科卒業
東京工業大学・大学院総合理工学研究科システム科学専攻修了(工学博士)
アーキテクチャデザイナー
研究テーマ エンタープライズエンジニアリング、システム理論、デザイン経営
山内「デザインというと、芸術(アート)のイメージですが」
飯島先生「それも含まれます。それに加えて、人間の作り出すものすべてを言っています。製品だけでなく、制度やサービスですね。それら、社会をデザインする学問と、今までの経営学を合体することで、『問題を解決する』んですよ。今までの経営学は、経験から学び、実証し、論理的に解明してきました。それに加え、デザインやサイエンスの知見を合わせることで、『組織をいかにうまく動かすか』を考え、問題を解決します」
山内「今までの経営学と、どう違うんですか?」
飯島先生「キーワードは『共感』です。これと従来の経営学の学問の『論理』を掛け算します。問題を持っている人や会社に共感し、『一緒に何とかしよう、解決しよう』と働きかけるのです。例えば、スーパーのレジ袋が有料になりましたよね。これで環境問題は解決するんでしょうか? 本当にそうなのかな? と考えて欲しいんですね。現時点では一つの答えかもしれない。でも、また、新たな問題が発生します。そのときに、またみんなで一緒に解決策を考えるのです。そこでは、エンジニア、デザイナー、経営者など、いろんな専門家が知恵を寄せ合い、一緒に考えますよね。この学科で学んだ、デザイン、デジタルと経営の分野に詳しい人が、それぞれの専門家たちをまとめる。そんな、組織のリーダーを作りたいんですよ」
「今までの経営学は、経営戦略、マーケティング、会計など、個別の学問分野を深く学べます。でも、それぞれの分野単独の理論だけでは、課題解決や、具体的な製品を作り上げ、世に出すまでは、なかなか行きつかないんですよ」(深見嘉明先生)
●深見嘉明(ふかみ・よしあき)先生
青山学院大学国際政治経済学部卒業
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 博士課程単位取得退学
博士(政策・メディア:慶應義塾大学)
研究テーマ 経営戦略論、プラットフォーム戦略、標準化戦略、イノベーション論
山内「ああ、高校生が大学に入って、失望する理由の一つは、これだったんですね! 学問を深めても、具体的な問題解決策に取り組むわけではない」
深見先生「問題を解決するには、複数の専門家が集まってコラボレーションできるのかどうかが重要ですが、これがうまくいかないから失敗する。誰かがこれを束ね、解決の過程を掌握する必要があります。ウチに来れば、それを学ぶことができます。いろんな専門家・専門分野を束ねて考える。この考え方を『デザインシンキング』と言います。私たちIDM(International Digital and Design Management=国際デザイン経営学科)は、デザインシンキングを身に付けて、問題解決のために専門家を束ねる人を作るのです」
飯島先生「経済産業省が『高度デザイン人材』『デザイン経営の専門家』の育成の重要性を訴えています。企業や産業界が必要としている人材育成のモデルは、単なる経営者ではなく、デザインシンキングの力を持った経営ができる人なのです。『使う人が、使いやすいものを作る』。それは具体的な製品でもありますし、企業経営のデザインもあります。働きやすい環境づくりなどですね」
私「デザイン経営というと、経営学の他に、芸術方面のデザインも学べるのですか?」
「そこで私ですよ!」(八木澤優記先生)
●八木澤優記(やぎさわ・まさき)先生
デザイナー。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。導電インクで印刷された線路の上を鉄道模型が走る「かみてつ™」をプロデュース。自宅の鉄道コレクションは1000両を超える。
八木澤先生「美術の人間って、『自分のことが大好き!』な人が多いんです。自分が良いと思っているものに夢中になってしまう。この能力が、『問題を解決する』のに重要なんです。ある問題を解決するのに、デザイナー(やアーティスト)、エンジニア、経営者が集まるとしますね。普通の人は理屈で考えて問題を解決しようとしますが、芸術家は、普通の人から見たからまったく明後日の方から、人と違う問題の解決法やプロセスを思いつくことがあります。だって、自分の好きなことに正直に生きているから、人と違う答えが見えてしまう。でも、それを押し付けたら独りよがりですよね。みんなで考えて問題を解決することにはならない。逆に、普通の人の理屈だけで考えても、必ずしもベストな正解にたどり着けるとは限りません。『正しいけれども、面白くない、売れない製品』になりかねません。そこで、『フツーの人の理屈と、アートな人のクリエイティブな考えを、つなぐ人』が必要になってきます。トンネルを山の両方から掘るとして、真ん中でちゃんとつながるようにコントロールする人です」
山内「芸術家になる美術学部の人になるわけではないけれど、芸術家やデザイナーの気持ちがわかって、コラボできる人になるわけですね」
八木澤先生「デザインや美術のマインドは、どんな学問にも必要です。高校生の皆さんには、『世の中を救う前に、まず自分を救え』と言いたいですね。自分を救えなくて、誰かを救うのは難しい。ウチでそれを一緒に勉強しませんか?」
山内「どんなデザインの教育をするんですか?」
八木澤先生「アウトプットする! ものを作って表現します。絵やプロダクトに限らず、演劇でも詩でも、音楽でもいい。自分の気持ちや考えたことを、表現してもらいます。恥をかいたり、失敗したり、自分のダサさを知ることも勉強です。多くの大学生はインプットばかりでアウトプットが足りません。大学4年間で学んだインプットの結果=アウトプットが『就職』でいいんですか? 就職するなと言っているのではありません。就職は手段であって目的ではありません。何が『価値(勝ち)』なのか、自分が決めるということです」
飯島先生「失敗から学ぶのは重要です。大人たちも失敗しています。事故が起きたり、作り上げた会社や社会の仕組みがうまくいかなくなったり。この『失敗』を、学生の皆さんには、大学でいろいろ挑戦することで経験してほしい。そのために、11人の専任教員が集まりました。なんと東京理科大出身の先生が一人もいません。異能、異才の集まりです。面白い、ユニークな先生たちです。世の中には、ヘンな人は必ず必要で、居場所はある! まあ、とがっているけど、協調性はある人たちですけどね。そうじゃないと組織はまとめられませんから(笑)」
深見先生「高校生の皆さんは、ふとしたきっかけで、世の中の問題に出会うことはありませんか? 例えばLINEとWeChatとではやり取りができない。ある町の交通系ICカードが別の町で使えない。みんながバラバラにやっていることを、まとめたらもっと世の中が良くなるのに……。そこにビジネスのヒントがあるのです。お金も儲かるかもしれない、新しい仕事が生まれるかもしれない。何より、問題解決ができます。これは経営学でもあり、工学でもあり、情報学でもあり、デザインでもある。異なる学問を束ねる勉強をすることが、将来、異なる才能を束ねることにつながっていきます」
山内「デザイン×経営というのはよく理解できたのですが、なぜ『国際』なんですか?」
飯島先生「別にオシャレだから国際ってオマケで付けたわけじゃないんですよ。これは、価値観の違いを認め合い、乗り越えていこうという、異文化、異質なものに対する共感の姿勢なんです。もちろん、専門科目の4割以上を英語で開講したり、全員必修のアイルランド研修といった教育カリキュラム、国際バカロレア入学者選抜などの具体的な取り組みもあります。皆さんはきっと、海外の人、専門が違う人と一緒に仕事をするでしょう。その時に重要になってくるのが、国際感覚なんですね。これもしっかりと学べます」
山内「数学はできたほうがいいですか?」
飯島先生「東京理科大の経営学部は、すべての学科で、一般選抜で数ⅡBまで課しています。文系学部だから国語と英語と社会の文系3科目でいいという大学ではありません。高校で文系クラスを選ぶ人は、ちゃんと数ⅡBまでやるか確認してください」
【以前の山内の取材】
2015.10.29 東京理科大学で、数学重視の経済学を学ぼう!
2016年4月新設 ビジネスエコノミクス学科
https://tyamauch.exblog.jp/24639219/
──さて、どうでしたか? 経営学部や商学部は、多くの大学にありますが、東京理科大学の国際デザイン経営学科、ピンと来た人は、ぜひ志望校に加えてください。社会の問題を解決したくてモヤモヤしているあなた、才能が爆発できますよ。
(了)