慶應義塾大学法学部の入学定員1200人に対し、一般選抜は460人で38%。残りの62%は附属校、指定校、AO等。一般選抜だけを戦う受験生はいい面の皮です。せめて160人(13%)を占めるAOにも挑戦することで、合格率を上げましょう。あと、すべての大学はこうした情報を目立つところで公開してください。
地方公立高校の生徒が、親や先生の「岡山大にしろ」「信州大にしろ」と戦って慶應義塾を受けるのに、椅子取りゲームはすでに附属と指定校にごっそり取られ、AOは推薦だから挑戦すらさせてもらえない。一般の38%にすべてをかけるしかない。無事に合格すると6割の推薦組が同級生。
首都圏の私立中高一貫校に大量の指定校推薦をバラまいて年内入学者をかき集めている大学は、事実上「都会の富裕層の子しかいらない」と宣言しているようなもので、地方出身者の比率が下がるのは当たり前。「地方の高校生は一般選抜で来い」はひどすぎる。
東京や関西の有名私大は、大量の推薦と、一般入試も都会の塾が有利なので、地方で真面目に勉強している受験生に狭き門になっていく。親もお金が無いし、地方国公立、地元私大しか選択肢が無くなっていく。江戸時代の藩から出られない時代に逆戻り。
それは、福澤諭吉が最も嫌ったものだと私は思うのですが。
私立大学の推薦重視路線は、地方だけでなく、都会の公立高校も苦しめます。同じ偏差値帯の私立高校には大量に名門大の指定校推薦が来るのに、公立高校生は一般選抜で戦うしかないからです。長い目で見れば進学実績の悪い公立高校は統廃合されていくでしょう。
一般選抜で7割取ると宣言している明治大学は、地方人と都会の公立高校生にやさしい大学です。都会の金持ちでなくても、学力だけで勝負できる。誰でも平等にチャンスがある。
推薦が多すぎる大学を見抜くには、一般選抜の定員と、学科の入学定員を比較して下さい。一般選抜の割合が低すぎる場合は、3つのポリシーを熟読して、総合型選抜にも挑戦しましょう。指定校推薦の生徒に不戦敗では悔しすぎます。
指定校推薦で学生を取りすぎている大学の先生は内心、忸怩たるものがあるはずです。一般選抜なら点数で弾かれるだけですが、総合型選抜なら書類選考や面接で先生方にあなたの入学したい熱い思いをぶつけることができます。これを私は「鬼滅の刃の途中で散る仲間」と呼んでいます。無駄ではないのです。