文系学生のための設備の充実ぶりでは、日本有数ではないかと私が高く評価しているのが、武蔵工業大学環境情報学部である。ここは文系入試で入れるにも関わらず、理工系学部並みの学生研究室が与えられているのだ。
まず、教員の研究室の広さが、他大学の倍以上ある。先生個人のスペースのほかに、学生が10人ほど集まれる大きなテーブルとイスがあり、学生たちのゼミ教育は先生の研究室で行われる。これだけでもすごいのに、隣接して同じぐらい広い学生研究室があり、3・4年生と大学院生が使用できる。サークルの部室みたいなもので、常に勉学意欲に燃える学生がたむろしている。
武蔵工大環境情報学部は、研究内容も素晴らしい。教員はちゃんと工学や農学出身者が多く、環境とか情報と名づけながら文系教員ばかりで学生研究室も無い大学とは質が違う。学生も文系入試で入ってもちゃんとプログラミングを学ぶ。工学部の研究体制を文系に用いており、研究室所属と卒業研究は必修。1・2年次もクラス担任制で学生をきめ細かくフォローし、オフィスアワー、コーヒーアワーで学生と教員が交流を図る。
本日見てきた学園祭「MI-TECH横浜祭」では、こうした研究室の研究紹介が、学生の手によって開催され、地域住民から受験生まで、大学での研究内容にじかに触れることができる。その数17。横井研究室では電子ペーパーとユビキタスコンピューティング、ドライブシミュレータ(Java3D)を用いたITS(高速道路交通システム)研究(仮想透過音による安全運転支援)、小倉研究室(信号処理・情報システム)ではETロボコンやMDD(飛行船)ロボットチャレンジなど、ほぼ工学部並みの研究に取り組んでいる。
もちろん、情報分野だけでなく環境分野も充実しており、空間情報活用技術、都市シミュレーションモデル、ユニバーサルデザイン、緑地・環境保全関係の展示も、学生がパワーポイントやイラストレーターでプレゼン資料を作り、論文集を配布するなど力が入っている。通常ならコテコテの文系扱いになりそうな世界経済、国際関係、物流、英語教育といった分野も理工系と同等の環境で研究教育がなされており、所属学生は活発に研究を発表している。
これこそが大学のあるべき姿だ。いくら偏差値の高い大学でも、学生がゼミにも入らず、論文も書かず、たとえ取り組んでもその成果を社会に発表することもなく、3年生で就職活動を終えて4年生になったら遊んでいるだけでは、大学とはいえない。理工系の学生の勉強ぶりを文系に応用した武蔵工大環境情報学部の取り組みは、もっと高く評価されるべきだし、広く知られるべきである。
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